70億ドルを投資し米国の製油所の能力を拡大するシェルとサウジアラムコ
(2007年9月28日掲載)

 ロイヤル・ダッチ・シェルとサウジアラムコの合弁企業であるモティヴァ・エンタープライズ(Motiva Enterprises LLC)は、2007年9月21日、70億ドルを投じてテキサス州ポートアーサー製油所の精製能力を2倍強に拡大することを明らかにした。実現すれば過去30年で最大の製油所拡張事業となる。


 モティヴァ・エンタープライズの声明によれば、ポートアーサー製油所の精製能力は、2010年までに現在の28.5万B/Dから32.5万B/D拡大され60万B/Dとなる。同社の2007年4月の建設費用見積もりでは投資額は40億ドルであったので、資材価格等の値上がりによって投資額が30億ドルも膨れ上がったことになる。


 米国では厳格な環境基準の導入に地元住民の反対が加わって新規製油所の建設や既存製油所の能力拡大が余り行われず、石油製品需要の増加に供給が追いつかない状態となっていた。こうした状況を変えようとブッシュ大統領は、製油所建設時の税制優遇等を導入し大手石油企業による製油能力の拡大に期待を寄せていた。


 通常、製油所の能力拡大の費用はB/D当たり2万1000ドルと言われているが、ロンドンのシティ・グループのアナリストも、「同費用は製油所置換費用に関する石油業界の推計とも一致する」と語り、ほぼ同費用が平均的費用であるとしている。今回、ロイヤル・ダッチ・シェルとサウジアラムコは、それだけの費用をかけても十分見合う収益が確保されると判断したものと思われる。因みに、能力増の暁にはサウジアラビアの重油が精製される予定である。尚、原油1バレルとガソリン1バレルとの価格差、つまり荒く見た精製プロフィットは5月17日には1バレル当たり37.477ドルまで上昇している。


 モティヴァ・エンタープライズの声明は、「ポートアーサー製油所の能力拡張は、過去30年超で最初の新規製油所を建設するに等しい事業である」としているが、実際、マラソン石油が1976年にルイジアナ州に建設した精製能力28.5万B/Dのゲイリーヴィル製油所が、米国で最後に建てられた新規の製油所である。

(9月24日、記)
<関連情報>

コスモ石油の筆頭株主となるアブダビ政府系投資機関の国際石油投資会社IPIC【9/21】

石油・ガスを有効活用した各種大規模事業を計画中のサウジアラビア【9/21】

当面の原油価格見通し【9/4】

米国のエネルギー政策に注文をつけたコノコフィリップスの会長兼CEO【8/10】

サウジアラビアとの合弁製油所の稼動時期を先送りしたSinopec【8/7】

シェルを除き小幅減益となった欧米主要メジャーズの2007年第2四半期決算【7/31】

一進一退の展開を見せる米国のガソリン小売価格【7/27】

クウェート、Al-Zour製油所の再入札を7月に実施【5/15】

(幹事 畑中美樹<はたなか・よしき>)