イラク駐留米軍の段階的削減を発表し情勢評価報告書を議会提出したブッシュ大統領
(2007年9月18日掲載)

 2007年9月13日午後9時からイラク情勢についてテレビを通じて国民向けに演説したブッシュ米大統領は、翌9月14日には、イラク情勢の評価報告書を議会に提出した。ブッシュ米大統領は全米向けのテレビ演説では、まず、2007年1月から進めてきた米軍3万人の増派による治安の確保とイラク治安部隊の治安維持の支援という所期の目的は達成されたとの見方を強調した。


 その上でブッシュ大統領は、2007年7月までにイラク駐留米軍を現在の20戦闘旅団から15戦闘旅団に縮小する考えを表明し、9月10日にペトレアス・イラク駐留米軍司令官が行った駐留米軍の削減提案を受け入れることを明らかにした。但し、具体的な削減数については言及せず情勢に応じて判断すると述べるに留まった。


 さらに2008年夏以降のイラク駐留米軍の規模については、治安情勢などを見た上で、2008年3月時点で改めて決定するとの方針を示した。但し、同時にイラクの指導層は自分の任期(2009年1月)以降も米国の政治的・経済的及び安全保障上の関与を欲していると語り、米軍が長期的にイラクに駐留する必要性を強調している。


 一夜明けた9月14日にブッシュ政権が議会に提出したイラク情勢に関わる評価報告書は、18項目の評価項目のうち9項目で「十分な進展」があったとしているものの、7項目は目標を達成しておらず、残る2項目については評価を下すには時期尚早と述べている。今回の報告書での「十分な進展」との評価数の9項目は、7月の報告書での8項目から1項目増加している。因みに、今回「十分な進展」が見られるに格上げされた項目は、バース党員の復帰に関する項目であった。尚、米議会の会計検査院(GAO)は、2007年8月、別途イラクの情勢評価報告書を作成しており、18項目のうち目標を達成したのは3項目のみという厳しい評価を下している。ブッシュ政権による18項目の評価は別表の通りである。


    別表 ベンチマークの評価

項 目 内 容 評 価
憲法見直し委員会の創設等 満足できる進展があった
非バース化の改革の法制化 満足できる進展があった
炭化水素収入の公平な配分等の法制化 満足できる進展がない
自治地区形成手順の法制化 満足できる進展があった
独立最高選挙委員会等の法制化(小項目毎に評価すべきとして、小項目毎に評価している)
1)独立最高選挙委員会の創設
2)選挙法
3)地方委員会
4)地方選挙実施日



1)満足できる進展があった
2)満足できる進展がない
3)満足できる進展があった
4)満足できる進展がない
恩赦に関する法制化 必要な前提条件が整備されるまで評価できない
武装勢力の武装解除の法制化等 必要な前提条件が整備されるまで評価できない
バグダッド治安計画を支える政治・メディア・経済・サービス委員会の創設 満足できる進展があった
バグダッド作戦向けの良く訓練されたイラク3個旅団の創設 満足できる進展があった
治安確保可能なイラク司令官の育成等 満足できる進展があった
イラク治安部隊による公正な法の履行 満足できる進展があった。但し、イラク警察は、満足できる進展をしていない。
武装勢力等の安全な活動の停止等 満足できる進展があった
イラク宗派・民族間対立の抑制等 満足できる進展があったが、地方の治安の確保においては、満足できる進展をしていない
バグダッド近郊での合同治安基地の創設 満足できる進展があった
独立作戦の可能なイラク治安部隊の増設 進展あるも満足しうる水準ではない
少数派政党の権利の確保 満足できる進展があった
イラク再建への100億ドルの配分・使用 満足できる進展を示しつつある
イラク政府当局の相互信頼等 満足できる進展をしていない

(9月15日、記)
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(幹事 畑中美樹<はたなか・よしき>)