2007年末がイランの核開発疑惑の解消の期限と述べたエルバラダイIAEA事務局長
(2007年9月7日掲載)

 エルバラダイ国際原子力機関(IAEA)事務局長は、2007年9月3日発売のドイツのシュピーゲル誌とのインタビューで、イランが核開発疑惑を解消する期限は2007年末であろうと語り、同国にIAEAと合意した核問題解決の「行動計画」を着実に実行することを求めた。


 まずエルバラダイ事務局長は「2007年11月までに、或いは遅くとも12月までに、我々はイランが約束を遵守しているか否かを結論付けることができよう」「仮にイランが約束を守らなければ、イランは重要な機会を逃すことになろう」「恐らくそれは最後の機会であろう」と述べ、イランが2007年末までに核開発疑惑を解消できなければ、最後の機会を失うことになると約束の遵守を求めた。


 その上で同事務局長は「制裁のほかにイランの行動を促すようなものが必要である」「制裁だけでは長続きする解決をもたらすことは出来ない」と続け、米欧諸国にイランに協力するよう促すことが必要との自論を展開した。但し、同時にエルバラダイ事務局長は「イランが核兵器を開発しているのではないかと疑わせる確かな理由がある」とも付け加え、同事務局長も核開発は民生用とのイラン側の説明に必ずしも納得していないことをうかがわせた。


 イランに対する軍事攻撃について問われた同事務局長は「空爆でイランの核施設の大部分を破壊できるかもしれない」「しかし、それを行えば、イスラム世界と西側の間に現存する敵対心が爆発することになる」「しかも、空爆による核施設の破壊は、イランによる核兵器開発への支持を強めることになる」と答え、軍事攻撃に出れば中東全体が不安定化する危険があるとの認識を示した。


 周知のようにイランとIAEAは2007年8月21日、イランの核開発に関する疑問にイランが答えるという「行動計画」の時間表で合意している。この合意についてIAEAは8月30日、「核開発計画に関する主要な質問に回答するとのイランの決定は、イランがさらなる経済制裁を回避する方向に向けた重要な前向きの一歩である」とコメントしイランの決断を評価している。


 但し、米国は、イランが国際社会の信頼を得るためにはウラン濃縮の停止が必要としており、イランとの合意は前進とのIAEAの評価についても、イランが本来成すべきことを行うといっているだけであり、当然のことを実施するといっているに過ぎないと述べ過大評価をすべきでないとの姿勢を貫いている。


 IAEAの努力を損なうかのように、2007年8月31日には、恐らく米国の圧力を受けたと思われるアラブ首長国連邦がイランを主たる対象国とすると推察される新貿易制限法を公布している。イランがどこまでIAEAの疑問に誠実且つ正直に答えてくるのか注視する必要があろう。

(9月3日、記)
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(幹事 畑中美樹<はたなか・よしき>)