イランの興味深い人事
(2007年10月30日掲載)

 イランでは9月、今後の国内外の政局に大きな影響を及ぼすとみられる人事が発表された。一つは革命防衛隊司令官の交代、もう一つはアハマディネジャド大統領のライバルが出現したことである。


◆ 革命防衛隊司令官の交代

 ハメネイ最高指導者は突然、革命防衛隊司令官を交代させた。新司令官はMohammad Ali Jafari。前任のYahya Rahim Safaviはハメネイ最高指導者の特別軍事顧問に就任した。この交代は、米国が革命防衛隊をテロリスト組織と位置付けた2週間後の発令であった。今回の交代の理由は驚きを持って受け取られている。しかし、交代の理由は定かでなく、通常の交代でJafariの昇格とみる向きもある。Jafari新司令官(1957年生まれの57歳)に対する見方は、

原則的には(政治家ではなく)職業軍人としての戦術家
組織人
技術志向の軍人
政治的にはラフサンジャニ師に近い
1999年、ハタミ政権時代、政治改革を実行するなら軍事介入すると警告した革命防衛隊24人の司令官の一人
前任のSafavi司令官はアハマディネジャド大統領に近かった


◆ Qalibafテヘラン市長、アハマディネジャド大統領にライバル出現

 テヘラン市評議会は保守派主導の政府の圧力を跳ね返し、保守派ではあるが穏健派の現市長Mohammad Bagher Qalibalを再選することを決定した。

 市評議会は現市長や2人の「ア」大統領支持者を含む4人の候補者と面談し、最終的に現市長ともう一人の保守穏健派のRasoul Khadem氏との決選投票となり、結果は8:6:1(棄権)で現市長のQalibaf氏が再選された。市評議会は強い政府の圧力もあったにもかかわらず、これを跳ね返したという。

 Qalibaf市長の再選は「ア」大統領の国際世界での強攻策や国内での経済政策の失敗に批判的な聖職者主導の権力構造の中での保守穏健派支持者の勝利を意味する。今回の再選について国営放送が世論調査を行ったところ、82%が再選を支持するという結果が出た。

 Qalibaf市長は2005年まで国家警察長官を務めたが、前任者の学生弾圧政策と違い、親民主派学生による抗議に対しても平和的に臨んできた。彼は権力機構に職業意識を持ち込み、警察組織を中立的なイメージに変えようと努めてきた。
このことが彼の人気を押し上げる背景にある。

「ア」大統領自身、テヘラン市長から大統領になったように、テヘラン市長のポストは大統領への布石であるともみられ、「ア」大統領にとっては手強いライバルが出現してきたといえよう。

以上

(幹事 中嶋 猪久生<なかじま・いくお> )