イラク政府、中国に武器発注
(2007年10月9日掲載)

 イラク政府は中国の国営会社から警察用の武器1億㌦相当を発注したとワシントン・ポストが報じた。武器の種類は小火器とされる。米国政府はイラク軍に供与した武器が武装組織に流出していることを懸念して、武器供給に慎重であった。イラク側は米国の対応の遅さに号を煮やし今回の措置に出たという。


 米国は2004~05年の間、東欧で調達したカラシニコフAK47型小銃約18.5万丁を含めイラク政府に武器供与してきたが、2年間の累計で約19万丁以上が行方不明となった。これらは対米軍攻撃や宗派抗争を繰り返す武装組織に秘かに流出したといわれている。米国が武器の引渡に慎重なのはこういう事情があるからだ。


 中国製武器の購入先は公表されていないが、中国人民解放軍傘下の直轄企業で兵器の輸出入を主たる業務とするNORINCO(中国北方工業公司)。米国は同社に対し、イランの大量破壊兵器や弾道ミサイル開発に協力したとして、現在まで数回にわたり「イラン不拡散法」に基づく制裁措置をとってきた。そういう国営の武器商人なのだ。


 サダム・フセイン時代、イラクは国連安保理にて経済制裁解除に向けて中国から支持を取付けるためラマダン副大統領(当時)を1995年、中国に派遣した。支持の見返りは石油開発利権であり、1997年6月、バクダッドで中国CNPCとの間で開発契約を締結した。具体的な当時の契約内容は、


  開発対象油田: Al-Ahdab
   推定埋蔵量: 14億㌭
   開発コスト: 13億㌦
    契約期間: 22年
    参加企業: CNPC
          NORINCO
     その他: ドイツのPreussag社が探査支援する計画


 その後、国連の制裁解除が行われなかったため、契約が実行されることはなかったが、今改めて2国間で交渉が行われている。中国はイラクへの武器売却に伴う未回収の債権を持っており、その額は46~60億㌦とみられる。パリ・クラブ19カ国では2004年11月、対イラク債権を段階的に80%削減することで合意されているが、中国はパリ・クラブのメンバーでないため、どのような対応策を打ち出すのか公式声明はない。ロシアと同じように債権放棄をAl-Ahdab油田開発契約の有効性を勝ち取るための取引カードとして使うのだろう。


 日本の場合、現在のイラク警察による治安維持のためパトカー300台無償供与している。

以上

(幹事 中嶋 猪久生<なかじま・いくお> )