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| (2007年11月27日掲載) |
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ロンドン金融市場ではドルの下落により過去21年間でサウジ・リヤルが最高値を更新していることから市場筋ではリヤルがドル連動性を維持していくのか、2つの通貨の間で現実に即したリヤルの切上げをするのかという思惑が益々強まってきている。 ♦ 為替レートと通貨政策 湾岸GCC諸国の中では2003年、米ドル連動性で合意した。この動きは2010年のGCC通貨統合に向けたものであった。しかし、通貨統合の夢は2010年までには実現しそうにない。既にオマーンは2010年の通貨統合には参加しないと表明している。クウェートは今年5月、ディナールのドル連動性から離脱し、ユーロや円を含む通貨のバスケット方式に転換した。クウェートはドルの下落は輸入品価格を押し上げ、インフレを誘発するとして自己防衛を図る為替政策を打ち出した。5月19日のドル連動性離脱以来、クウェート・ディナールは2.5%切り上がっている。 ♦ インフレ インフレはドル経済圏のGCCに損害を及ぼしている。サウジの7月のインフレ3.83%は過去21年間で最高水準にあるが、この背景には ・ 2004年以降の住宅費の高騰 ・ ドル連動にスライドする食料品の上昇 がある。カタールでは今年3月14.81%にまで上昇した。UAEでは過去19年間で最高の9.3%となった。 ♦ 産油国の問題 石油・ガス価格がドル建てで輸出しているサウジ、UAE、オマーン、カタールにとってドルは外貨準備通貨となっている。これは両刃の剣になりうるもので、ドルが強い場合には双方が利益を受けるが、一旦ドルが弱くなれば、ドルに連動する各通貨は切上げ圧力に直面することになる。今がまさにその時である。その中でサウジ、バハレーン、カタール、UAE、オマーンなどいずれも切上げを否定している。 ♦ 切上げ圧力 米国財務省や連銀からは切上げ圧力があるかも知れない。GCCが切上げしないのはドル自体の信頼性が消失するからだ。9月、米国連銀は公定歩合を50bp引下げ4.75%にしたが、サウジは5.25%が現実的な水準として据え置いた。しかし、SAMAが検討しなければならない前例があるのだ。1988年アジア金融危機当時のマレーシアの例。マレーシア・リンギットをドルから離脱するかどうかに追い込まれたが、最終的には、マレーシア中央銀行は周辺諸国の競合する通貨、中国元、韓国ウォン、シンガポール・ドル、日本円の動向をみながら、ドル連動から離脱せず、シーリング(上限)を設けた上での通貨切上げを行った。リンギットは現在ではより自由なドル連動性とユーロや円を含むバスケット方式を導入している。 ♦ サヤリSAMA総裁の発言 サヤリ総裁は「7年振りの高さにあるといっても、輸入コストの上昇というよりは国内の住宅費の高騰が原因だ」として、切上げを否定してきた。サウジは1986年以来、同じ固定レート(1ドル=3.75リヤル)でドル連動性を維持してきており、米国の金利変動にあえて変更することはなかった。サウジのドルによる石油収入はリヤルに交換され、サウジアラビアの歳入源となる。リヤル切上げは石油収入のリヤル価値に大きな影響を及ぼし、歳入が減少し、現行財政収支の剰余金を減らすことになる。サウジ政府のドル建て対外資産は約2,400億㌦で、リヤルに交換されれば大きく価値を減じることになる。同様にサウジの銀行資産の価値も大きく影響を受ける。また、今より強いリヤルはサウジの輸出に波及し、外国からサウジへの投資を減らすことになるだろう。 ♦ 今後のシナリオ このような状況の中でサウジに最もありうるシナリオは、 ・ サウジは急激な変化には強く抵抗し、 ・ 一定の上限を設定してその枠内で金利を変更、 ・ サウジ産業が多様化すれば、長期的にドル連動性を変更する、 ということだろう。 |
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| 以上 |
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| (幹事 中嶋 猪久生<なかじま・いくお> ) |