国内で高まるアハマディネジャド・イラン大統領への批判と「イラン報告書」で評価の分かれたIAEA理事会
(2007年11月27日掲載)

 イラン国内では、核開発交渉を巡り強硬姿勢を続けつつ、政敵を一方的に誹謗・中傷したアハマディネジャド大統領への批判が高まっている。2007年11月21日付けの強硬派系の「ジュムフーリ・イスラム」は社説で、「イラン国内は個々人に対する宣伝攻撃で満ち溢れている」「法律を遵守する国家にあっては、如何なる個人であれ裁判官や行政官にはなり得ない」と怒りに溢れた調子の一文を掲載した。同紙がハメネイ最高指導者に近い新聞であることを考えれば、最高指導者の許可なくこのような社説を掲載することは考えられず、ハマディネジャド大統領の行過ぎた言動に釘を刺したものと受け止められている。


 ラフサンジャニ専門家会議議長に近い元核開発交渉高官でもあったハッサン・ロウハニ氏も同紙で「誰であれ政敵を除去することは出来ない」「誰であれ政敵を敵であると分類することはできない」「誰であれ国家を3人や10人で統治することは出来ない」「仮に誰かが国家にトラブルを引き起こせば、誰がそれに対処すべきなのであろうか?」「それは司法制度によってでなければならない」「行政制度は何びとも非難する権利を有していない」「裁判所の判決の以前に誰かを有罪扱いするのは間違っている」と述べ、アハマディネジャド大統領の先般のモッタキ元核交渉責任者に向けられた発言を批判している。


 さらに「ジュムフーリ・イスラム」紙は、「法の基礎に基づくのではなく、政敵の評判のせり売りが行われた」「攻撃された人物は非難に対抗する手段がない」と述べ、やはりアハマディネジャド大統領の先般のモッタキ元核交渉責任者に向けられた発言を非難している。


 ハタミ元大統領も2007年11月21日、マシャドで行われた演説で、「我々は正義を支持するが、正義は貧困の拡大を意味しない」「我々は腐敗に反対であり、最悪の腐敗は国民に嘘をつくことである」と語り、大統領の経済政策も絡めてアハマディネジャド大統領を批判した。


 ところでウィーンでは2007年11月23日、国際原子力機関(IAEA)の定例理事会が開催され、エルバラダイ事務局長が11月15日に提出していた「イラン報告書」に基づいて協議した。最終的に懸念と評価を併記する議長総括を採択して閉幕した。同日採択された議長声明は「未解決の問題が一部解明された点は歓迎するものの、全容解明には程遠い」「濃縮活動を停止し、過去の核開発活動を明らかにしなければ、国連安保理で国連憲章41条に基づくさらなる経済制裁が検討される」「今後、高濃縮ウラン検出の問題、核兵器研究の問題、核の軍事利用の可能性のある活動の問題について、イランは協力しなければならない」といった内容で構成されている。


 国連安保理は、11月30日にロンドンで予定されているソラナEU共通外交・安全保障上級代表とイランのジャリリ核開発交渉責任者との会談結果を待って、制裁協議を始める予定となっている。

(11月26日、記)
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(幹事 畑中美樹<はたなか・よしき>)