イラン: 高まる中国のプレゼンス
(2007年11月2日掲載)

 中国のイランでの存在感は益々高まりつつある。欧州や日本の企業・銀行が撤退し、米国や国連による経済制裁が厳しくなる中で中国は漁夫の利を得ている。エネルギー部門や貿易分野で中国の果たす役割が今後益々高まっていくだろう。


【エネルギー部門での展開】

 中国企業によるイラン・エネルギー関連プロジェクトへの投資は契約ベースでは100億㌦を超えている。

♦CNPC  2000年8月
     2004年9月
     2005年5月
     2007年1月
South Pars 19の掘削契約
Masjed-I-Suleyman油田の操業を継承
Kurdasht鉱区の探査開発条件に合意

South Pars 14開発及びLNG生産についてNIOCと協議。
♦Sinopec 2001年1月



    2004年11月
イラン北部油田の増改修契約及びカスピ海沿岸Nekaでの石油貯蔵タンクの建設
Zavaareh-Kashan鉱区の探査、2004年試掘で軽質油の油徴を発見

ヤダバラン油田開発の覚書締結
♦CNOOC 2006年10月 North Pars上流開発及びLNG生産
♦中国  2007年4月 8機のリグ売買契約


【貿易関係】

ドイツは過去30年間、イラン向輸出でトップの座を占めてきたが、2007年にはトップの座を中国に奪われそうだ。2006年、ドイツからイランへの輸出額は50.8億㌦であったが、2007年1~5月は対前年同期比19.8%減少した。これに対して中国は2006年には44.8億㌦で2005年対比35.8%増となっている。これはイランの核開発をめぐる問題と国連・米国による経済・金融制裁の影響によるものだ。9月にはドイツの3大銀行(ドイツ、コメルツ、ドレスナー)がイラン取引を停止している。

♦ イランは元々欧州とのつながりが歴史的に深く、技術も欧州仕様で馴染んでいるため、欧州に目が向いている。しかし、欧州が制裁に向けて動き出した以上、イランは中国に向かわざるを得ない。近隣トルコからの輸入は今年1~7月は前年同月対比26.5%の増加となっている。

欧州からイラン向輸出は減少しているが、UAE(ドバイなど)経由のイラン向再輸出もあり、必ずしも実体面を示しているとはいえない面もある。UAE経由の三国間貿易ではドイツからの輸出が続いており、中国からは消費財の輸入が多い。

♦ イラン側のビジネスマンからみると、中国の銀行向けのL/C開設には問題があるとの指摘
がある。9月に中国を訪問したMostafa Pour-Mohammadi内相は両国の経済協力促進と銀行問題の解決に向けての会談を行っている。

2006年のイラン貿易(輸出+輸入の双方向)では中国が日本を抜いてトップとなった。
     中国: 144.5億㌦
     日本: 123億㌦
2007年は170億㌦に達するだろう。2007年1~8月は120億㌦でイランの出超。

♦ 中国の原油輸入は今年1~6月間の輸入量は前年同月比24%増。イランはサウジ、アンゴラに次いで第3位の輸入国。今年の輸入量は2006年実績よりやや下回る、というのが大方のトレーダーの予想であった。
中国は今年上半期で10.9百万㌧(44万b/d)に一気に増加したが、これは国営企業Sinopecによるスポット買いによるものであった。各国がイラン原油の輸入を減らしている中でイランは余剰原油を抱えている。日本も国内需要の減少でイラン原油の輸入を減らしている。

以上

(幹事 中嶋 猪久生<なかじま・いくお> )