![]() |
||||||||||||
|
||||||||||||
| (2007年12月26日掲載) |
||||||||||||
◆ West Qurna PhaseⅡ(推定埋蔵量110億㌭) West Qurna油田は推定埋蔵量110億㌭で、米国のExxonMobilの持つ確認埋蔵量に匹敵する規模を持つ油田。1980年代にロシアの地質学者により調査・測量された未開発の油田で、世界的規模からみても超巨大油田の一つ。開発企業や国家にとてつもない幸運をもたらす“巨像”なのだ。 ◆ イラク vs. ロシアの第一ラウンドは物別れ ロシアは1980年代のサダム・フセインに対する軍事債権(ロシア側では100~130億㌦といっている)を盾にとり1997年に契約締結したWest Qurna PhaseⅡの開発契約の有効性を強く迫っている。2007年8月、イラクのシャハリスタニ石油相はモスクワ訪問したが、最大の交渉案件はこの契約問題であった。 イラク政府の見解は原契約の有効性を認めていない。その理由は次の通り。
イラクは公式にはこのような見解をとりつつも、他方では、シャハリスタニ石油相は「ロシアはそれでも優位な立場にある。入札となってもLukoilはWest Qurnaの地質情報を持っており、他の入札企業があってもはるかに優位な立場にある」ことを認めている。また、Lukoilの20%株主である米国のConocoPhillipsが最大で17.5%の権益比率で入ってくることも有利に働くとみられる。 この時点でロシアの新聞は次のように伝えている。 ロシア政府は100億㌦の債権問題を決着させ、サダム・フセイン時代に結んだ開発契約を確保しようとしている。昨日、3日間の滞在予定でモスクワ訪問したシャハリスタニ石油相の主たるテーマはこの問題だ。Sergy Storchak財務副大臣は「イラクがロシアに負っている100億㌦の軍事債務の行方はシャハリスタニの訪問の結果次第だ・・・イラクは債権放棄の協定書は年末までに署名されると楽観的にみているようだ・・・要するに、サダム時代に結んだ油田開発契約の解決次第なのだ。既にサダム時代の契約が復活した前例がある。2006年6月、シャハリスタニが中国を訪問した時に1997年、中国が契約を結んだ契約(注:Al-Ahdab油田開発契約)が復活したではないか。中国政府は対イラク軍事債権80億㌦のうちかなりの部分を放棄することを約束した。 ◆ 第二ラウンド:イラクは開発契約の有効性を拒否、ロシアは借金の帳消しはしないと逆襲 米国の法律顧問の助言を受けて、イラク政府はロシアと論争中の開発契約の有効性を拒否した。この回答を受けて、ロシア当局は2004年のパリ・クラブによる(ロシアの対イラク債権) 130億㌦放棄の取極めを放棄するぞと恫喝した。 シャハリスタニ石油相は「West Qurnaは新たな応札企業に開放される。2008年の早い時期に」と語る。 ロシア政府は8月のシャハリスタニ訪問時には解決すると見込んでいた節がある。石油の富を拡大することで国際問題に新たな重きをなそうというロシア政府はLukoilを支援し契約の有効性を強調してきた。クレムリンの報道官はいう「ロシアの利益を守る。外国にあるロシア企業を守るのはロシア政府の義務だ」 ◆ ロシアと中国のエゲツナさ 両国の油田権益は湾岸戦争後、サダム・フセインが国連制裁解除を求めて国連安保理常任理事国(P-5)に石油開発利権を武器に働きかけた。これに応じたのが、ロシア、中国、フランスの3カ国。各国が開発権益を獲得しているのである。 中 国 1997年、Al-Ahdab油田開発契約 ロシア 1997年、West Qurna PhaseⅡ開発契約 フランス 1997年、Majnoon、Nahr Umar両油田優先開発交渉権の確保 上記3国に共通するのは次の3点である。
2008年の早い時期に新石油法が制定されなくても、イラクは現行法の枠内で油田開発の国際入札を行うだろう。日本は経済協力という名の下で投資してきた巨額債権のうち約1兆円を放棄、復興支援50億㌦、自衛隊の派遣等、軍事面を除けば米国に次いで2番目の貢献度といっても過言ではない。その日本が獲得するのは何だろう? |
||||||||||||
| 以上 |
||||||||||||
| (幹事 中嶋 猪久生<なかじま・いくお> ) |