2007年には実質GDP成長率が若干低下する見込みのGCC諸国

(2007年8月31日掲載)

 2004年から2006年にかけて堅調な伸びを見せた世界経済も、2007年には主として米国経済の減速を背景として僅かながら成長率を低下させると予測される(表1)。他方、中国やインド等の新興経済諸国の経済成長率は引き続き好調に推移する見込みである。但し、発展途上国全体で見れば、多くの諸国が各種の商品価格の変動及び国際金融市場の変動の影響を強く受けることになろう。


 表1 主要国の実質GDP成長率の推移(2004~2008年)
                      (単位:%)
2004 2005 2006 2007 2008
米 国 3.9 3.2 3.3 2.2 2.8
日 本 2.7 1.9 2.2 2.6 1.9
ユーロ圏諸国 2.0 1.4 2.6 2.6 2.3
中 国 10.1 10.4 10.7 10.0 9.5
世 界 5.3 4.9 5.4 4.9 4.9

出所:IMF、「世界経済見通し」、2007年4月
注:2007年及び2008年は予測値



 開発ラッシュ、建設ブームに沸くGCC諸国を見ると、GCC6カ国の実質GDP成長率は2005年6.8%、2006年6.0%と好調に推移した。その結果、2006年のGCC6カ国の名目GDPは約7230億ドルと2001年のほぼ2倍に達している。2006年のGCC諸国の実質GDP成長率を国別に見ると、最も高かったのがUAEの9.7%で、以下、カタール8.8%、バハレーン7.7%、オマーン5.9%、クウェイト5.0%、サウジアラビア4.6%と何れも高率となっている。


 GCC諸国の今後の経済は、勿論、イラク内政の混乱や先行き不透明なイランの核開発問題といった地政学的不安定要因による悪影響を受ける可能性を秘めてはいるものの、国際石油市場が引き続きタイト気味に推移する見込みであることや地場の民間部門に経済力が備わってきたことに下支えされて、数年単位で見れば現在の好調な状態を基本的には維持すると見られている。


 但し、2007年のGCC諸国の実質GDP成長率については、5.0%と2006年に比べて低下すると見られている。国別見通しでは、UAEの実質GDP成長率が8.2%と最も高くなると予測されている。以下の5カ国については、カタール8.0%、バハレーン6.9%、オマーン6.0%、サウジアラビア4.8%、クウェイト3.5%と予測されており、オマーンを除いて何れの諸国も2006年に比べて実質GDP 成長率は多少低下するものと思われる。


 近年のGCC諸国では、需要の急増にドル安の進展が加わり、過去に比べてインフレ傾向が顕著となっている。2006年についてGCC各国の年平均インフレ率を見ると、GCC諸国の中でも家賃の上昇率の著しかったカタールの11.8%とUAEの10.8%の2カ国の高率振りが目に付く。但し、その他の4カ国も、オマーン3.2%、クウィエト及びバハレーン3.0%、サウジアラビア2.2%とそれぞれの諸国の過去のインフレ率と比較すると高水準となっている。


 因みに、カタールとUAEの2006年の家賃上昇率を見ると、それぞれ83%、60%(但し、ドバイ)とリヤドの21%の3倍乃至4倍となっている。さらに家賃支出が家計所得に占める比率を見ても、カタール33%、UAE30%とサウジアラビアの19%を大きく上回っており、家賃の上昇がカタールとUAEのインフレ率を大きく引き上げたことが窺われる。尚、2007年のGCC諸国のインフレ率は2006年より多少低下するものの、6カ国の中でカタールとUAEのインフレ率が高いという状況に変化はなさそうだ。

(8月19日、記)
<関連情報>

2010年までに最大2500億ドルへの拡大が見込まれる証券化によるGCCの資金調達【8/7】

石油価格の高騰の世界経済への影響は限定的(主要石油専門誌の論調)【8/7】

改めて注目される中東産油国のオイル・マネーの投資先【8/3】

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世界銀行によれば2006年の中東諸国のGDP成長率は6.3%【6/19】

2007年のGCC諸国の経済成長率は若干低下すると見るIMF【5/22】

(幹事 畑中美樹<はたなか・よしき>)