●原油価格は40ドルに下落すると見る前OPEC高官
           〜日刊デリバティブ・ジャパン紙より転載



(2006年10月11日掲載)


 
40ドルに低下する可能性もある2007年・2008年


 アドナン・シハーブ・エルディン前OPEC事務局長代理が2006年9月下旬、「原油価格は地政学的懸念の後退から2007年央には1バレル40ドル程度まで下がるのではないか」との独自の見方を示した。但し、アドナン前OPEC事務局長代理は「油価が2003年以前のような水準まで下降するとは考えられない。下落しても40ドルから60ドルの範囲であろう」と続け、下がるにしても一定の限度があると説明している。


 同前OPEC事務局長は「需給状況は過去3年で劇的に変わっているので、油価が下落するといっても40ドルから60ドルの範囲まで」と述べ価格が下げきらない理由として需給ファンダメンタルズの根本的な変化を挙げている。他方で、同前事務局長は「現在の高水準の油価は、イランの核開発交渉や内戦寸前のイラク情勢、或いはイスラエルを取り巻く状況の変化といった地政学的な懸念によってもたらされたものである」「それ故、こうした地政学的懸念が後退すれば、油価は40ドル程度まで下落するだろう」「但し、その時期は早ければ2007年だが遅ければ2008年となろう」と述べ、油価格は地政学リスク次第で40ドルまで低下すると予想している。



 
OPECにとって明るい中長期的見通し


 残り少なくなった本年の国際石油情勢について2005年末までOPEC事務局長代理を務めていたアドナン・シハーブ・エルディン氏は「7月から8月まで34日間も続いたレバノン危機で油価は78ドル台まで上昇したが、その後停戦合意もあって60ドル台前半へと22%も下落した」「OPECは国際石油市場を注意深く監視し、余剰生産能力がどれだけあり、それをどこまで稼動させるべきかを慎重に判断する必要がある」と語り、今後数ヶ月は供給過剰にならないよう舵取りすることを促した。


 その上で、アドナン前OPEC事務局長代理は、次のように分析し中長期的にはOPECにとって好ましい環境が続くと予測している。即ち、「(需要面について)過去3年間を振り返ると世界の原油需要の80%は中国、アジアほかの途上国のものであった。こうした傾向は今後数十年に亘り続こう」「他方、供給ファンダメンタルズも変化しており、追加需要の大半はこれまでとは異なりOPECが賄うことになる」「2012年以降の世界の原油需要の大半はOPECが充足せねばならなくなるので、OPECにとって中長期的な将来は明るいものである」「こうした二つの大きな構造的な変化があるので、長期的にも原油価格が大きく崩れることはない」「特にOPECに有利な方向への需給ファンダメンタルズの変化は、原油価格の崩落を防止する上で決定的な役割をはたすことになろう」と。



<日刊デリバティブ・ジャパン紙(2006年10月10日付)より転載>

<関連記事>

OPEC減産報道とナイジェリアの産油動向【10/2】

ブッシュ大統領、30日カザフスタン・ナザルバエフ大統領と会談【10/4】


(幹事 畑中美樹<はたなか・よしき>)