2012年5月の議会選挙を前に過去10年超で初めて政党の結成が承認されたアルジェリア
(2012年1月31日掲載)

 アルジェリア内務省は、2012年1月24日、5月に予定される議会選挙を前に10組織を公式に政党として承認することを発表した。同国が新たな政党の結成を認めるのはブーテフリカ現大統領が大統領に就任した1999年以降で初のことである。ダフー・ウルド・カビラ内務相は国営通信APSで「我々は出来るだけ多くの政党が生まれるようにしている」(ロイター通信 2012年1月24日)と語り、アルジェリア政府が多党制を歓迎することを強調した。

 しかし、反政府勢力は、アルジェリア政府は近隣諸国でのイスラム政党の躍進を目にしてイスラム政党を含む多くの政党を乱立することで票が分散することを狙っていると見る。また、公正発展イスラム主義者戦線のアブダラ・ジャバッラー指導者は「新党の多くは政府当局に近い。明確な反政府政党は一つだけだ」(同上)と述べ、新党の多くが政府寄りである点を指摘する。

 アラブの春でチュニジアやエジプト、リビアの政権が崩壊するのを目の当たりにしたアルジェリア政府は、19年に及んだ非常事態法を解除したり国家によるテレビやメディアの独占を廃止することを約束したりするなど改革姿勢を盛んにアピールしている。但し、中東アナリストの多くは、アルジェリアには若者の失業者が多く、しかも透明性のある民主政治ではないなど、国民による民主化要求デモが起きる条件が揃っていると分析する。

 現に2012年1月10日にも首都アルジェ南方400kmにあるラグーアで失業と住宅不足に不満を覚える市民の抗議デモが発生し、治安部隊との衝突で少なくとも10人が負傷する事件が発生している。国家人権失業支援調整(CNDDC)のアベス・ハッジ・アイーサ代表は「ラグーアでの衝突は、治安部隊員がバスを待っていた老人を侮蔑したことに人々が怒って始まった」「少なくとも10人が負傷し、市民50万人が抗議の意思を示すためにカーテンを閉めていた」(ミドル・イースト・オンライン 2012年1月11日)と語り、国内には不満が鬱積していることを示唆した。

 ところで5月の議会選挙でイスラム政党が伸張するのか否かについて、アルジェリア政府は否定的な見方をしている。例えば、ダフー・ウルド・カビラ内務相は、2012年1月10日、公共ラジオ放送2で、「他国との比較は有益ではない。アルジェリアには固有の特徴がある。アルジェリアには多国とは異なる社会価値がある。他国では価値に重きを置くのではなく政治が重視されて投票されていた」「もっとも人々がどの方向に行くことを選択するのかを言うことは出来ないが」(ミドル・イースト・オンライン 2012年1月10日)と述べ、アルジェリアの議会選挙ではモロッコ、チュニジア、エジプトのようにイスラム政党が躍進することはないとの見方を示している。

 果たして、5月に予定されるアルジェリアの議会選挙がどのような結果になるのか。同国がOPECの一員であると共に、欧州にとっては重要なガス供給国であることからも注目される。尚、現時点で議会選挙に立候補者を出せる政党数は22で、このうち6つがイスラム政党となっている。

(1月27日、記)
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(幹事 畑中美樹<はたなか よしき>)