今後を予想する上で極めて重要なイランを訪問する国際原子力機関(IAEA)高級調査団へのイラン政府の対応
(2012年1月27日掲載)

 欧州連合(EU)外相理事会が、2012年1月23日、原油の全面禁止措置を含む新たなイラン制裁を決定したことでイランの対応に注目が集まっている。今後のイランの出方を占う上で西側諸国が重要と見ているのが、2012年1月29日から三日間の日程で予定される国際原子力機関(IAEA)高級調査団のイラン訪問である。

 既に国際原子力機関(IAEA)は、2012年1月23日、高級調査団の派遣目的について、未解決の全ての問題の解決を図ることと説明すると共に、特に核兵器に関わる調査や開発をイランが行いつつあるとの情報の真偽を確かめることに焦点が置かれる点を明らかにしている。この点について欧州の外交官は「国際原子力機関の疑問に対するイランの回答が重要になってくる」「これはイランにとってかけられた嫌疑を晴らす好機である」「但し、協議後、国際原子力機関がイランの対応には何らの変化も見られなかったというのであれば、心証はさらに悪いものとなろう」(FT紙 2012年1月23日)と述べ、イランが核交渉に真剣であるのか否かを判断する上で、今回の高級調査団への対応が極めて重要となると解説している。

 もっとも、これまで伝えられる欧州連合(EU)によるイラン原油禁輸措置へのイランの対応は、西側から見て必ずしも芳しいものではない。例えば、ムハンマド・イスマイル・コウサリ国会国家安全保障員会委員は、2012年1月23日、「イラン石油の販売が犯されればホルムズ海峡は封鎖されよう」「米国に軍事的冒険主義を取らないことを警告する」(AP通信 2012年1月24日)と語りEU禁輸に反発している。

 またイランのホシュマトラ・ファラハトピシェフ議員も「イランは石油制裁の報復としてホルムズ海峡を封鎖する権利を持つし封鎖は可能である」「脅威に晒された場合、ホルムズ海峡の封鎖はイランの持つ権利の一つである」「これまでのところ、イランはこの特権を行使していない」(同上)とメヘル通信に語り、ホルムズ海峡を封鎖する可能性について堂々と言及している。さらにイラン保守派のアリ・アガザデ議員は「イランのウラン濃縮の権利は交渉できるものではない」「イランがこうした権利で譲歩すべき理由はない。しかし、イランは核開発に関する疑問について率直に議論する」(同上)と述べ、ウラン濃縮を止める意思のないことを明確にしている。

 他方、欧米側では、キャメロン英首相、メルケル独首相、サルコジ仏大統領は次のような共同声明を発表し、改めてイランに警告を発している。

我々のメッセージは明確だ。
我々はイラン国民とは何ら問題を抱えていない。
だがイラン指導層は、核計画が平和目的であることを国際社会に確信させることに失敗した。
我々はイランが核兵器を取得することを容認しない。

 また米国でもクリント国務長官とガイトナー財務長官が、次のような内容の共同声明を発表している。

EUの決定は、イラン指導層に選択を鋭く迫るものとなろう。
EUの決定は、核計画に関する(イランの)挑戦的な費用を高めることとなろう。

 EUによるイラン原油の禁輸措置が決まったことでイランの核開発を巡る西側諸国との駆け引きは新たな局面に入ったといえる。これからENによるイラン原油の既存購入契約が無効となる2012年6月末に向けて緊張含みの微妙な展開が予想される。

(1月24日、記)
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(幹事 畑中美樹<はたなか よしき>)