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| (2012年1月24日掲載) | ||
リビアの暫定国民評議会は、2012年1月22日、市民の抗議デモを受ける形でベンガジ出身の委員6名の資格停止を発表した。同日には、1月19日にベンガジのガル大学で抗議する学生たちに取り囲まれ日和見主義者と罵倒されたアブドゥル・ハーフィズ・ゴーガ国民暫定評議会副議長兼報道官も別途辞任を発表した。 今回、暫定国民評議会がベンガジ出身の委員の資格停止を発表するまでに追い込まれた背景には、2011年12月下旬から続く市民による抗議デモで、同評議会に汚職の疑惑があるとか、或いは改革の速度が遅すぎるとの強い批判を浴びたことがある。周知のように、前日の1月21日には暫定国民評議会のベンガジ支部の建物がデモ者に襲われる騒ぎにまで発展していた。 6名の委員の資格停止を発表したアブドゥル・ジャリール議長は「汚職の容疑の調査やカダフィ政権と関係のあった要人を認定するために宗教指導者委員会を任命した」「資格停止となった6名の委員は、ベンガジ市評議会が承認すれば職務を継続できる」(AP通信 2012年1月23日)と語り、市民の要求に応じて厳格に対応する姿勢を示した。 但し、暫定国民評議会のファトヒ・バジャ委員は「今回の決定は違法だ」「自分はベンガジ市民が辞めろと言う時にのみ辞任する」「宗教指導者たちを宗教指導者委員会委員に任命したが、彼らは自分がカダフィ大佐を批判した時、市民に服従しなさいと説いていた人々だ」(同上)と語り、アブドゥル・ジャリール議長の措置に反発している。 ところでオサマ・アル・メグレヒ選挙法準備委員会委員長は、2012年1月22日、本来であれば同日発表する予定であった選挙法草案の内容の公開を1月28日延期したことを明らかにした。準備委員会は2012年1月初旬、選挙法の原案を明らかにした時点でリビア国民からのコメントを受け付けるとしていた。オサマ・アル・メグレヒ準備委員会委員長は、1月22日、延期はこうしたコメントを取り入れるために必要となったものと説明した。 選挙法では200人の議員を選出する憲法制定議会選挙(6月23日以前を予定)の選挙方法を決める。尚、この憲法制定議会が憲法の策定を監督することになる。またオサマ・アル・メグレヒ準備委員会委員長は、大学教授や裁判官、弁護士、NOGの男女メンバーの17人で構成する選挙管理委員会が選挙を監視することも明らかにしている。 若者たちを中心とする抗議デモは、ベンガジだけで起きているわけではない。首都トリポリやミスラタでも発生している。トリポリでは活動家が首相府近くに泊まり込み用の小さなテント村を作っているほどである。また自立意識の強いミスラタでは、暫定国民評議会の意向に関わらず2012年2月に新たに市評議会選挙を行うことを決めている。この点についてミスラタ市評議会のムハンマド・ベンラサリ報道官は「透明性を欠き動きが遅く移行期の公正さなど多くの問題で行動しない暫定国民評議会に抗議するデモや坐り込はあちこちで起きている」「我々は、国家元首は変わったものの、体制のその他部分はそのままと感じている」(NYT紙 2012年1月22日)と語り、暫定国民評議会への不信を口にしている。 若者を中心とするデモ者たちは、暫定国民評議会の動きが遅いことや相変わらず過去のつながりを基盤とする政治手法を取っていること、さらには市民の意見を事前に聞かずに選挙草案を策定したことなどを批判している。特に選挙草案につては、勝者が全票を得る方式では部族のつながりを意識した投票となりかねないことや、地元の金持ち、著名人が有利で新たに政党から立候補した者には不利な点を挙げ批判している。 批判の嵐を前にした暫定国民評議会のアブドゥル・ジャリール議長は、次のように語り、再び国民に今少し辛抱するよう求めている。 ① こうした抗議が続けば悪循環に陥ってしまう。 ② 政府には十分な資金のなかったことを理解していただきたい。 ③ 遅延もあったであろうが暫定政府が動き出してまだ2ヶ月である。 ④ 暫定政府に少なくともあと2ヶ月の時間を与えて欲しい。 これまで武器類を放棄せず首都トリポリなどで我が物顔で振る舞う戦闘部隊の行動やこれらに起因する治安の悪化ばかりに目が行きがちであったリビアだが、当面の統治の中核となる暫定国民評議会への批判の続出は、同国の先行きが決して楽観できるものではないことを暗示していると言えそうだ。 |
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| (1月23日、記) |
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| <関連情報> ●統治方法への不満を表明するため国民暫定評議会(NTC)ベンガジ本部を襲った約2000人のリビアの内戦参加者を中心とする若者たち【2012/1/24】 ●数か月後に再稼働見込みのラスラヌーフ製油所と来週には一部操業再開予定のリビア国営鉄鋼社(Lisco)【2012/1/20】 ●リビア領土内で解放された過激派組織「イスラム・マグレブ諸国のアル・カイダ(AQIM)」に誘拐されたアルジェリア南部の県知事【2012/1/20】 ●首相や国防相の仲介もあり人質の交換でようやく停戦にこぎ着けたリビアの首都トリポリ南方での民兵同士の戦闘【2012/1/20】 ●凍結されていた在外資産のうち200億ドルは返還されたことを明らかにしたアシュール・リビア外相【2012/1/13】 ●国民評議会(NTC)による評議員の見直しや旧政権要人の閣僚ポスト等からの異動を約束することで収束したリビア各地の抗議デモ【2012/1/13】 ●本格政府の樹立に向け憲法制定議会の選挙草案を明らかにしたリビアの暫定政府【2012/1/6】 |
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| (幹事 畑中美樹<はたなか よしき>) |