イラン制裁案を含む国防権限法案に署名したオバマ米大統領とイラン原油禁輸に基本合意した欧州議会(EU)
(2012年1月6日掲載)

<イラン制裁案を含む国防権限法案に署名したオバマ米大統領>


 オバマ米大統領は、2011年12月31日、休暇で滞在しているホノルルで、イラン制裁案を含む米国防権限法案に署名した。因みに、同法に含まれるイラン制裁案は、イランの中央銀行と取引がある各国の金融機関に対して経済制裁を実施するとしている。新制裁案は、イラン中央銀行が同国の原油取引の決済の多くを請け負っている点に狙いをつけ、イランとの原油取引を実質的に停止させることを目指している。

 但し、同案では、イランとの取引を著しく縮小させている金融機関は例外扱いとするとしているほか、米国の国益に適う場合やエネルギー市場の安定に必要と判断される場合も制裁の対象外となるとしている。新たな制裁案の対象となるのは各国の中央銀行を含む官民の銀行で、取引の内容に応じて60日から180日の警告期間後に制裁措置が適用される。

 米政府高官は「我々の意図は、制裁を時宜に適った方法で段階的に実施し、石油市場への影響を回避し、イランを害してもその他諸国には被害が及ばないようにすることである」「制裁案はイランの石油収入の削減を目指している」(ロイター通信 2012年1月1日)と新制裁案の趣旨・狙いを説明している。

 尚、原油輸入量の9.6%をイランから輸入する韓国も、新たなイラン制裁案の対象国となる。理由は、韓国の銀行がイラン中央銀行に開設したウォン口座を通じて、原油輸入代金を韓国の輸出代金と相殺処理しているからである。但し、韓国政府は、既に見たように国家安保に影響を及ぼす場合には適用を猶予するという条項があるKとから米政府に猶予を要請する一方、原油輸入先の多角化に動き始めている。


<イラン原油禁輸に基本合意した欧州議会(EU)>

 欧州の外交官たちは、2012年1月4日、欧州政府がイラン産原油の禁輸措置に原則合意したことを明らかにした。これらの外交官たちは、2011年12月の最後の数日に亘りEU各国の特使たちが協議した結果、原油禁輸に対する反対が消えうせたと説明している。ある欧州の外交官は「多くの進展があった」「石油禁輸の原則が合意された。最早禁輸は議論の対象となっていない」(ロイター通信 2012年1月4日)と語り、後は細目と実施開始日をどうするかであることを示唆している。

 米国務省のヌーランド報道官も「今回のEUの決定は、欧州のような米国の同盟国やパートナー国のみならず、世界中の諸国から出ることを期待する動きである」「米国はEUの措置がイランを経済的に締め付けるとの方針と合致するものと考える」(同上)と述べ、EUの基本合意を大いに歓迎する意向を示した。因みに、ガイトナー米財務長官は、2012年1月10日から12日にかけ、イラン制裁の協議も含めて話し合うことを目的に日本と中国を訪問する予定である・

 現在イランの原油輸出量は約230万B/Dだが、EUの輸入量はそのほぼ17%相当の約40万B/Dといわれる。EUの中ではギリシャやイタリア、スペインのイラン原油輸入量が大きい。そのイタリアのマリオ・モンティ首相は、禁輸が段階的に実施されイランによるイタリア債務支払いが適用除外となるならば禁輸措置を支持する用意があるとしている。EUは2012年1月30日に首脳会議及び外相理事会を開催する予定であることから、同日の外相理事会で詳細が決められる見込みである。

(1月5日、記)
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(幹事 畑中美樹<はたなか よしき>)