マーケットが不安定な中、資産の安全な避難先として英国不動産に投資する湾岸の投資家
(2011年9月16日掲載)

 ロンドンは、投資先としての優位性を維持しており、湾岸諸国の多くの投資家にとって投資することの喜びを実感できるセカンド・ホームのような場所となっているという。投資対象はイギリスの不動産である。しかも最近の傾向はロンドンに留まらず、地方都市の不動動産にも触手を延ばしているという。以下では、約1ヶ月前のガルフ・ニューズ紙(2011年8月15日付け)に開催されたイギリスの投資銀行であるゲイトハウス・バンクの不動産部長の投稿記事から要点を紹介してみよう。

 イギリスの国際的不動産コンサル会社のナイト・フランク社が行った個人富裕層の投資行動調査報告は、投資コンサルタントからの情報として中東の個人富裕層がセカンド・ホームを購入する場所、或は転居先として挙げる最初の選択肢はロンドンであるとしている。ということは、これらの投資家やその家族がイギリスに落ち着くことになれは、当然ながら家族用の不動産も購入することを意味している。イギリスの2011年6月の一ヶ月間における超高級住宅販売を見ると、旺盛な外国人投資家の購入により金額、件数とも記録を更新した。事実、販売件数は45戸にのぼり、販売総額も500万ポンドに達した。

 イギリスの商業不動産は、リスクに敏感な投資家にとっては依然堅実な投資対象である。価格は2010年の年初以来8%の上昇を続けているが、2007年のピーク時と比べるとまだ30%も低い。しかし、投資リターンは2010年の14.5%からは下がっているものの、2011年は7%から10%の範囲に留まると予想されている。ゲイトハウス・バンクは、同行が仲介したグラスゴーのロールス・ロイス向けの製造と物流を兼ねた商業不動産を5170万ポンドで買取った実例を挙げている。期間17年のリース契約付きで、当初のネット利回りは6.6%だが年1.5%のリース料の上乗せ条件付きである。

 学生用の住宅も投資対象となっている。極東や中東の富裕層が子弟をイギリスに留学させて高等教育を受けさせることから、学生用の住宅に根強い需要があるからだ。このため投資資産としての価値が上昇を続けている。当然のことながら、イギリスの投資銀行は中東の富裕層の投資を誘い込もうと営業活動に怠りない。彼らは湾岸諸国の投資家が過剰な流動性の運用先を求めてイギリスを優先的な投資先としていることから、投資家の希望にかなうような「ロウ・リスク、ハイ・リターン」の優良テナントの長期リース付き優良不動産物件を確保する戦略を立て待っている。

(9月12日、記)
<関連情報>

英国での一等地の高級不動産物件や名門企業への投資が目立つカタール投資庁(QIA)【2011/6/28】

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(中東問題研究家 江添 久義<えそい ひさよし>)