リビアを訪問し新規援助を約束したクリントン米国務長官と近隣諸国にカダフィ政権高官の引き渡しを求めたヘイグ英外相(10月18日時点)
(2011年10月20日掲載)

<電撃訪問で新規援助1100万ドルを約束したクリントン米国務長官>

 クリントン米国務長官は、2011年10月18日、地中海のマルタから対空ミサイル防護装備を備えた軍用機でリビアの首都トリポリを電撃訪問し、5時間という短い滞在中に国民評議会のジャリール議長、ジブリール暫定首相ほかと会談のうえ新規援助1100万ドルを供与することを明らかにした。

 米国の新規援助は、携帯式地対空ミサイルをはじめとするカダフィ政権の保有していた武器類の回収や内戦での負傷者向けの医療支援、米国への留学を含む教育計画の再開、遺跡事業への資金供与などで構成される。今回の新規援助によりリビアで2月に反政府デモが起こって以降の米国の支援額は合計1億3500万ドルとなる。

 トリポリ滞在中のクリントン米国務長官の主な発言をまとめれば凡そ次のようになる。

解放されたリビアの地に立つことを誇りに思う。米国は貴方たちの戦いにおいて貴方たちの側についたことを誇りに思うし、貴方たちがこの道を歩き続ける限り米国は貴方たちの側に立つ。
困難な部分が今、始まった。現在最も重要なのはカダフィ大佐とカダフィ政権が新生リビアを邪魔しない様にすることである。カダフィ大佐が問題を引き起こさぬよう、米国は出来る全ての事を行いたい。
米国はカダフィ大佐が近々、拘束されるか殺害されることを望む。そうなれば、カダフィ大佐を恐れる必要がなくなるからだ。(編集部注:これまで米国は慎重姿勢を保ち、カダフィ大佐が殺害されるとの言い回しは避けていた。それだけに、この発言は注目される)。
戦闘は終了していないが、NATOは市民への脅威が続く限り保護を継続する。
米国はリビアを統一するために必要な行程を取るとの国民評議会の約束に勇気づけられた。
全ての戦闘集団の全てが新政府に加わらねばならない。

 今回クリントン米国務長官が支援を約束した新規援助の中で、米国が最も力を入れているのがカダフィ政権時代の武器類、なかでも携帯式地対空ミサイルの回収である。米国務省は既に14人の武器専門家をリビアに派遣すると共に、他国にも協力を求めている。


<近隣アフリカ諸国に逃亡リビア高官の引き渡しを求めたヘイグ英外相>

 ヘイグ英外相は、2011年10月17日、訪問中のトリポリで次のように語り近隣アフリカ諸国に逃亡リビア高官の引き渡しを求めた。

逃亡中のカダフィ大佐やカダフィ政権の高官を司法の場に引き出すことは極めて重要である。
英国大使館が改めてトリポリで国旗をはためかせたのは国民評議会がリビアの安定化で大きく前進したことを示すものであると同時に、リビアが国際社会で新たな役割を確立したことを示すものでもある。(編集部注:ヘイグ外相の来訪の機会に、英国は新大使を明らかにすると共に、国旗掲揚式典を行っている)。
英国は対リビア人道援助を増やす。但し、国民評議会軍による人権侵害の噂には懸念している。
カダフィ大佐を司法の場に連れ出すことは極めて重要であるので、英国は捜索の支援を継続する。
英国は近隣アフリカ諸国に各国の責任や各国に逃れてきたカダフィ政権の高官をリビアないし国際司法裁判所に引き渡す責任について説明している。
勿論、英国はこうした人々がどこにいるのかを知らないが捜索を支援して行く。
駐リビア大使にはジョン・ジェンキンス大使を任命した。
凍結中のリビア資産は近々(リビア側に)戻されるだろう。

 リビアを訪問したヘイグ英外相は、翌日の10月18日にはモーリタニアを訪れ、ムハンマド・ウールド・アブデルアジズ大統領との会談でリビアの武器類の拡散の危険性を指摘している。

 尚、バニ・ワリッドでは、反カダフィ軍が逃亡したカダフィ軍の兵士の行方を追うと共に、隠された武器類の探索を精力的に続けている。最も気になるセーイフ・イスラム氏の消息について、サイド・ユニス野戦司令官は「セーイフ・イスラム氏は10月13日に姿を見られている。同氏はバニ・ワリッド近くの砂漠の村で食事をしていた」(AP通信 2011年10月19日)と語っている。

(10月19日、記)
<関連情報>

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(幹事 畑中美樹<はたなか よしき>)