穏健イスラム政党公正発展党(PJD)が第一党となった憲法改正後初のモロッコ議会選挙(11月27日時点)
(2011年11月28日掲載)

 モロッコ内務省は、2011年11月27日、前々日の11月25日に行われた憲法改正後初の議会(定数395人)選挙の結果を発表し、穏健イスラム政党「公正発展党(PJD)」が107議席を獲得し第一党となったことを明らかにした。第二党は60議席を得た中道右派のイスティガル(独立党)であった。モロッコの議会選挙は395議席のうちの60議席が女性に、また30議席が40歳以下の候補者の割り当てられることが選挙法で規定されているため、実際には残る305議席を32政党が争った。

 今回の投票率は45.4%と前回の2007年の37%は上回ったものの、前々回の2002年の51.6%は下回った。前回の議会選挙から人口は3200万人へと増えているにも関わらず、登録有権者数は約1500万人から約1350万人に減少していた。今春からの民主化要求デモを率いてきた若者たちが中心の「2月20日運動」は、憲法の改正が不十分として選挙をボイコットするよう呼びかけていた。現に今回の選挙では、投票所で白票や全候補者にバツ印を書き込んだ投票用紙が多かったという。選挙監視に当たった米国の国民民主研究所は「自分たちが見た投票用紙の5つに1つはそのようなものであった」と推定している(AP通信 2011年11月28日)。加えて、立候補者を立てた政党数が多くなったことや複雑な比例代表制を採用したことも低い投票率を生んだものと思われる。

 1997年の議会選挙では獲得議席数が僅か7に留まった公正発展党(PJD)は、その後、2002年の議会選挙では42、2007年の議会選挙では47と着実に議席数を増やしてきた。今回の議会選挙で同党が大躍進できたのは、トルコの公正発展党が着実に成果を挙げているほか、先のチュニジアの議会選挙でも穏健イスラム政党が勝利するなどモロッコ国民の間にイスラム政党への警戒感が薄らいでいたことがありそうだ。さらに、公正発展党(PJD)が、今回の議会選挙戦で、貧困数の半減、最低賃金の50%引き上げなど国民が不満を募らせていた経済問題に焦点を当てたことや王制は維持すると明確に述べていたことが大勝利の要因として指摘できよう。

 公正発展党(PJD)のアブデリラフ・ベンキラネ党首(57歳)は、ラバトの党本部で選挙結果を受け次のように言っている。

我々は断固とした改革を求めて来たものの目標は国家の安定である。
選挙結果は我々の予想を上回るものであった。
連立協議を開始する前にムハンマド六世国王による首相の公式任命を待ちたい(編集部注:7月の国民投票で承認された憲法改正により、国王は議会第一党の党首を首相に任命する)。
我が党の政策を連立相手の政党の政策とすり合わせねばならない。
但し、我が党の計画と連立相手の計画は、「民主主義」と「良好な統治」という二つの軸を持つことになる。

 また同党首は電話インタビューで次のようにも発言している。

有権者は、前の野党を選択したことで過去の政策を明確に拒絶した。
我が党に反対する人たちも、民主主義の原則を尊重せねばならない。
率直に言って、人々が何故我が党を恐れるのか分からない。
例えば、女性の権利だが、2011年の今、女性の諸権利を奪い取ることが出来る者などいない。

 尚、今回はモロッコの議会選挙結果のみを伝えたが、次回は勝利要員ほかについての分析版を掲載したい。

11月28日、記
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(幹事 畑中美樹<はたなか よしき>)