チュニジアの制憲議会選挙で41%強の得票率を得て第一党となったイスラム政党「アンナハダ(復興)」
(2011年11月1日掲載)

 チュニジアの独立選挙管理委員会は、2011年10月27日、政変後初の制憲議会選挙の結果を発表した。それによれば既に勝利宣言を行っていたイスラム政党「アンナハダ(復興)」が41.47%の得票率を得て90議席を獲得し第一党となった。第二党は30議席(得票率13.82%)を獲得した中道左派政党の「共和会議党(CPR)」、第三党は21議席(得票率9.68%)を得た「労働民主自由フォーラム(エタカトール)」となった。以下、進歩保守党の19議席、民主進歩党の17議席が続いた。但し、選挙管理委員会が進歩保守党に選挙違反があったとして一部の議席のはく奪を発表していることから、最終的な各党の獲得議席数は変動が予想される。

 「アンナハダ(復興)」のラシッド・ガヌーシ党首は、急速なイスラム化により国内経済が悪化するとの懸念を払拭するように、新政府が自由市場経済を堅持することを強調している。またラシッド・ガヌーシ党首を初めとする同党の幹部は、2011年10月26日、株式市場の主要幹部と会談し、自由な企業活動や外国投資を改めて保証した。会談後、ラシッド・ガヌーシ党首が同党としてさらなる企業の上場を望むことを表明したほか、子息でエコノミストのモアズ・ガンヌーシ氏も「我々が株式市場側に立っておりチュニジア経済で積極的な役割を果たしたいと考えている」(FT紙 2011年10月27日)と述べ、市場経済を尊重しつつ自由な企業活動を保証することを再度強調している。

 さらに、それでも不安はぬぐえないと考えたためなのか、ハマディ・ジュベリ同党書記長は「観光のような戦略的な部門に対してワインを飲むことや水着の着用を禁止することが論理的と言えようか」「こうしたことはチュニジア人にとっても外国人にとっても個人の自由の問題である」「我が党はイスラム金融を普遍化したり、通常の金融機関を廃止したりはしない」「我が党の経済哲学の中核を成すのは市場である」(同上)と語り、経済運営に関してはこれまでと大きく変わらない点を訴えている。

 尚、ビクトリア・ヌーランド米国務省報道官は、政変後初のチュニジアの民主的な選挙を讃えつつも、「米国はチュニジアの各政党が民主主義の中核となる原則、即ち、言論・表現・報道の自由や異なる見解への寛容性等をどこまで尊重するのかで判断する」(AP通信 2011年10月29日)と述べ、主要政党に真の自由化を実現することを迫っている。

 ところで選挙管理委員会から一部議席のはく奪を言い渡された進歩保守党が基盤とする中部の町シディブジドでは、2011年10月27日夜から28日にかけて、この決定に不満を覚える支持者約4000人がアンナハダの事務所や市庁舎に放火するなどの騒擾事件を引き起こしている。このためチュニジア内務省は、10月28日、同日の午後7時から翌朝5時までを対象とする夜間外出禁止令を発出して事態の収拾に努めた。

 言うまでもなく中部のシディブジドは、2010年12月17日、野菜売りの青年が自殺しチュニジアの民主化要求の動きの発端となった象徴的な町として知られる。それだけに現政権側にも慎重な対応が求められたが、幸いなことにシディブジド出身でムスタキラ衛星テレビのオーナーでもある進歩保守党のムハンマド・ハキミ・ハミディ党首(ロンドン在住)は国内放映されたテレビを通じて全19議席を撤回することを発表している。尚、「アンナハダ(復興)」のラシッド・ガヌーシ党首は政変がシディブジドでの抗議デモからであったことを強調することで彼らの自尊心に訴えるかのように「革命の発祥地であるシディブジドの人々よ、平静になり公共の資産を守ってほしい」と改めて呼びかけている。

 尚、「アンナハダ(復興)」は第一にのなったとはいえ獲得議席が過半数に達しなかったことから、第二党となった中道左派政党の「共和会議党(CPR)」及び第三党となった「労働民主自由フォーラム(エタカトール)」との連立協議を開始している。

10月31日、記
<関連情報>

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(幹事 畑中美樹<はたなか よしき>)