依然資金難を訴えるリビア暫定国民評議会のタルフーニ財務責任者と同国の産油量の完全回復は2015年になると見る国際エネルギー機関(IEA)(6月19日時点)
(2011年6月21日掲載)

依然資金難を訴えるリビア暫定国民評議会のタルフーニ財務責任者

 ベンガジの暫定国民評議会のアリ・タルフーニ財務・石油相は、2011年6月18日、ロイター通信に次のように語り、公約にも関わらず西側諸国の援助は届いておらず、早晩資金不足に直面する危険性を指摘した。以下は、アラブ・ニューズ紙(2010年6月18日)に掲載された「西側諸国を非難する資金不足のリビア反体制派―石油責任者は語る」から一部を抜粋し要約したものである。

我々は現金を持っていない。我々は全てをなくしつつある。それは完全な失敗である。
西側諸国は我々の資金難を理解していないか、或いは、気にしていないかの何れかである。
何も実現していない。私は実際、何も実現していないことを訴えたい。
我々が協議した全ての人たち、全ての諸国、全ての会議は、素晴らしい壮大な演説で満ちていた。
我々はそれらを政治的視点からは感謝するが、財務の面から言えば、完全な失敗であった。我々は死につつある。
(何故、財政支援に時間を要していると思うかと問われ)分からない。彼らに尋ねることさえ疲れてしまった。
我々は近い将来に石油生産が出来るとは見ていない。製油所には原油がないのだから稼働していない。
人々はこの革命のために死んだし今も死につつある。
我々は資金調達の方法を見出すだろう。
一つ確かなのは、我々は諦めないということだ。


産油量の完全回復は2015年になると見る国際エネルギー機関(IEA)

 国際エネルギー機関(IEA)は、2011年6月16日、内戦状態にあるリビアの産油量が完全に戻るまでには長い時間を要し、能力一杯の生産状態になるのは2015年になるとの見方を示した。要点のみ以下で紹介することとしたい。

リビアの産油量は危機発生前の150~160万B/Dから20万B/D以下に低下しており、能力回復作業は極めてゆっくりしたものとなろう。
内戦状態が早期に集結し、石油部門の損害が相対的に軽微に終わることを願いたい。
しかし、実際のところ、産油量は長期に亘り停止したままとなりそうだ。
次の三つの理由から回復は遅くなると見る。
第一は、リビアの石油産業は多くの外国企業に依存していたが、彼らの帰還が地上での安全性が完全なものとなってからになると考えられるからだ。
第二は、リビアの原油の大半はワックス分を多く含んでいるので、長期に亘る稼働停止となれば設備類への影響が大きいからだ。
第三は、外国企業には魅力的でない既存の契約に関する再交渉の必要があるからだ。
暫定国民評議会は、NATOの保護下で今後数カ月微量の原油を輸出できるかもしれないが、2011年の残りの期間の産油量は限られたものにしかならない。
2012年までに政治解決等が図れ、2013年までに危機以前をやや下回る水準まで生産能力が回復すれば、2015年には生産も完全回復するだろう。
リビアの供給困難で世界の原油情勢はタイトとなった。上流活動の活発化や非OPEC供給の上昇にも関わらず、世界の需給バランスは柔軟性を欠いたものとなっている。
世界の経済成長率が平均年率4.5%の通常ケースでも、2010~2011年の石油市場は以前の予想より厳しいものとなっている。
2013~2016年には石油市場のタイト感は多少緩和しようが、期間中に予想される400万B/Dの余剰生産能力は供給のクッションとしてはやや小さい。

(6月19日、記)
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(幹事 畑中 美樹<はたなか よしき>)