アラブ世界でのオバマ人気の終焉
(2011年7月26日掲載)

 世論調査で知られる米国のゾグビー・インターナショナルがアラブ世界での世論調査の結果を7月中旬に発表した。モロッコ、エジプト、ヨルダン、レバノン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦の6カ国で4千名を対象にした大規模な調査であった。対象者も年齢、居住地、学歴、既婚者と未婚者、自宅居住か賃貸居住か、宗教、宗派など基準で選択されており、多様性の確保がはかられている。これは、ブッシュ政権最後の年の2008年そしてオバマ政権発足後の2009年の調査に続く3回目のアラブ世界でのゾグビーによる同種の世論調査である。その結果の主なポイントは以下の通りである。

米国への好感度は、オバマの当選後に急上昇していたが、再び低下し、2011年にはブッシュ大統領の最後の年の2008年よりも低い。エジプトでは、わずか5パーセントである。
アラブ域外の国や組織に関する好感度ではトルコへの支持が急上昇している。たとえばサウジアラビアでは98パーセントがトルコに好意的であり、否定的なのは、わずか2パーセントに過ぎない。
上の調査の対象となったのは、トルコ、中国、イラン、フランス、米国、国連である。日本は調査の対象にさえ選ばれていない。
中東における平和と安定への最大の阻害要因としては、「パレスチナの占領の継続」と「米国の介入」が第一位と第二位を占めている。
オバマ大統領の当選によって米国アラブ関係改善への期待が高まったが、現段階でのオバマ支持は10パーセント以下にまで急落している。
オバマの実績として評価が最も低いのは「パレスチナ問題」と「ムスリム世界との関係改善」である。
リビアにおける飛行禁止空域の設定に関しての米国の役割が評価されているのはサウジアラビアとレバノンのみであり、他の諸国では関心を集めていない。
ビンラーディンの殺害は反米感情を強めた。
「アラブの春」の評価に関しては、判断するには早すぎるとの意見が強い。エジプトでは、意見が分かれており、アラブ首長国連邦では評価されている。

 調査を行ったジェームズ・ゾグビーによれば、以前にオバマ大統領に会った際に調査の計画を話したところ、パレスチナ問題の解決の道筋を付けない限り支持は相当に低いだろうと大統領が答えたと言う。結果は大統領の予想通りとなった。なおゾグビーはアラブ系の米国市民である。

(7月11日、記)
<関連情報>

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注:関連情報はJAMEEF編集部が付記した。

(評論家 高橋和夫<たかはし かずお>)
http://ameblo.jp/t-kazuo/