イランが大規模な軍事演習を実施
(2011年7月22日掲載)

 2011年6月27日から10日間にわたりイランが、「偉大なる預言者6」と名づけられた大規模な軍事演習を実施した。これは1992年から毎年実施されている恒例の演習であり、攻撃を受けた際のイランの反撃能力を誇示する役割を果たしている。

 革命防衛隊は、演習の2日目に14発の地対地ミサイルの発射に成功したと発表した。さらにミサイルのサイロ(地下格納庫)の映像がテレビで放映された。イランの説明によれば、サイロに納められたミサイルには複数の弾頭が装備されている。

 演習終了後の7月9日の革命防衛隊空軍部のハジザーデ准将の発表によれば、イランには射程2千キロを超えるミサイルの製造能力があるものの、実際に製造する予定はない。イランの敵はイスラエルとイラン周辺に展開する米軍である。イラクやアフガニスタンを始め多数の米軍基地がある。2千キロ以内の射程でどちらも攻撃できるので、射程を伸ばす必要がないとの説明である。イランはミサイルの射程を一定限度に押さえることで欧米を必要以上に刺激するのを避けようとしているのかも知れない。

 だが英国のヘイグ外相は、イランが核兵器搭載可能なミサイルの実験を秘密裏に行ったと非難した。通常はイラン批判の先頭に立つイスラエルや米国ではなく英国の外相による発言は異例である。なおイラン側は、これを否定している。

 またハジザーデ准将は、地上から海上の標的を狙うミサイルを保有しているとも発言した。米軍の空母は、長さが330メートル幅が70メートルもあり6千名もの人員を載せており狙い易い標的である。とわざわざ特別に言及し、仮にイランが攻撃を受けた場合には米軍の艦船に対する反撃を明言した。同時に、イランから攻撃を開始することはないとも強調した。

 2月には革命防衛隊は超音速で飛行し、その上ステルス(レーダーを回避する)能力を持った射程300キロメートルの対艦ミサイルの量産の開始を公表している。今回の演習で、3発の同種のミサイルが公海上で移動する標的に命中したとも同准将は発表した。

 さらにハジザーデ准将は、イランが今年初めにインド洋に向けての射程1900キロメートルのミサイル2発を発射したと発表した。イランのイスラエルおよび近隣の米軍基地への攻撃能力を誇示したわけだ。「米国は、インド洋海域に偵察機を飛ばしていながら、イランのミサイル実験について公表しなかった。興味深い」との旨の同准将の解説が興味を引く。この実験が英国のヘイグ外相が言及した核兵器搭載可能なミサイルの発射実験であるのかは、報道からは確認できない。

(7月11日、記)
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注:関連情報はJAMEEF編集部が付記した。

(評論家 高橋和夫<たかはし かずお>)
http://ameblo.jp/t-kazuo/