営業債権者の91%と債務再編(リストラクチャリング)で合意と発表したドバイ政府系デベロッパーのナキール
(2011年1月5日掲載)

 ドバイ首長国の政府系持ち株会社であるドバイ・ワールド傘下の不動産開発会社ナキールが、2010年12月下旬から2011年1月初めにかけて、債務の返済に関して幾つかの新しい動きを見せた。まず、ナキールが2010年12月29日、声明を発表し、債権金額の91%を保有する営業債権者と債務再編(リストラクチャリング)で合意し調印したことを明らかにした。

 同社は同声明で、引き続き、債権金額の95%を保有する営業債権者と債務再編(リストラクチャリング)で合意することを目指し努力するとしている。同社は声明の中で、「91%との債権者とのリスケ合意は我が社の資本再編計画にとって大きな前進である」(アラビアン・ビジネス誌 2011年1月2日)と述べ、債務交渉が一歩前進したとの認識を示した。

 そのナキールは翌日の2010年12月30日になると、2011年1月に償還期日の到来する約8億ドルの債務について、政府の基金の支援を得て支払うことを明らかにした。同社の説明によれば、2011年1月16日に償還期日の到来するイスラム債に関してドバイ金融支援基金(the Dubai Financial Support Fund)の資金を利用する。具体的には、同日に償還の必要となる合計8億7160万ドルについてナキールが同基金から資金支援を仰ぐ形となる。

 2008年に発行されたイスラム債の元本額は7億5000万ドルであったが、上記金額との差額は利払いやその他諸費用分である。周知のように、ドバイ金融支援基金(the Dubai Financial Support Fund)は、返済に苦しむ政府系企業の支援を目的として2010年に設立されたものである。

 さらに、ナキールの広報関係者は、2010年12月30日、同社は現在依然合意に達していない債権者とも2011年第1四半期中には合意を得るべくリスケ交渉を進めていることを説明した。但し、ナキールのアリ・ラシッド・ルーター会長は、2010年10月の時点では、債権者との債務リスケ交渉を何とか2010年中には終えたいと発言していた。ナキールの債権総額は約105億ドルだが、同社は銀行を中心とする金融機関及び、建設業者や各種納入業者から成る工事関係企業とのリスケ交渉を並行的に行ってきた。加えて、ナキールは年が明けた2011年1月2日、同社がこれまで営業債権者に39億ディルハム(Dh、約10億6000万ドル)を支払ってきたことを明らかにした。

(1月3日、記)
<関連情報>

2011年の返済額が200億ドルであるなか保有資産の売却に弾みのつきそうなドバイ政府関連企業【2010/12/27】

保有する豪州の港湾株式の一部をプライベート・エクイティ(PE)に売却するドバイのDPワールド【2010/12/24】

ドバイ首長国のナキールやドバイ・インターナショナル・キャピタル等の債務再構築・債券発行ほかの動き【2010/12/21】

シェイク・ムハンマドUAE首相兼ドバイ首長がシェイク・アハマド・エミレーツグループ会長・最高経営責任者(CEO)をドバイ・ワールド会長に任命【2010/12/14】

今後とも政府主導のインフラ投資によりGCC地域最大の建設市場となるアラブ首長国連邦(UAE)【2010/12/14】

債券市場に投資家が戻るなかで着々と再建計画が進むドバイの政府系持ち株会社【2010/12/7】

国営企業売却や民営化も視野に入れていることを明らかにしたシェイク・アフマド・ドバイ最高財務委員会委員長ほかの要人【2010/12/3】

返済延期を再度要請したドバイ・ホールディング商業オペレーションズ及びドバイ・インターナショナル・キャピタルと不動産市況は底をつけたと発言したエマール会長【2010/12/3】

ドバイ・ホールディングスのリストラクチャリングは進行中と語ったアル・シャイバニ・ドバイ最高財務委員会副委員長【2010/12/3】

(幹事 畑中 美樹<はたなか よしき>)