IMFに賞賛されたイランの経済改革
(2011年8月30日掲載)

 2011年8月3日にIMF(国際通貨基金)がイラン経済に関して、楽観的な内容の報告書を公表した。その中でIMFは、昨年12月以来の食料品と燃料の補助金打ち切りを高く評価している。報告書の文言を、そのまま引用しよう。「補助金改革は、イラン経済の効率と競争力を高め、所得の配分を改善し、貧困を緩和し、成長の潜在力の完全な利用の扉を開くだろう」と手放しの賞賛である。IMFが、各国の経済運営に関して、これほどの評価を与えた例を他に知らない。以下に報告書のポイントを列挙しよう。

補助金改革によって節約された予算は600億ドルに達した。これは、イランのGDPの15パーセントに当たる。

この600億ドルのうちの300億ドルが、現金として各家庭に配られた。150~180億ドルが企業にエネルギー効率の改善のための資金として与えられた。そして100~120億ドルが政府の燃料費の支払い、公共部門のエネルギー効率の改善に割り当てられた。

1日2ドル以下の収入を貧困ラインとすると、貧困ライン以下の国民は12パーセントから2パーセントに激減した。

種類によっては20パーセントも消費量が低下した燃料もあり、これが環境に負荷をかける二酸化炭素などの排出量の大幅な削減に寄与した。

2008/09年に0.6パーセントと低迷していた経済成長率が回復し、2010/11年にかけては3.2パーセントに達した。回復の柱となったのは、農業生産の増加と石油価格の上昇であった。

経済成長率とは逆にインフレ率は低下した。2008/09年の25.4パーセントから、2010/11年には12.4パーセントへと半減した。

2010/11年のデータでは財政黒字はGDPの1.7パーセントであり、賢明な支出の賜物である。

油価の回復を反映して、2010/11年の経常収支の黒字は、GDPの6パーセントにまで上昇した。

2011/12年においてはインフレ率の上昇が予想されるが、2012/13年には低下するだろう。

失業率は、しかしながら下がっておらず、2008/09年は10.4パーセント、2010/11年は11.9パーセント、そして2011/12年の第一四半期は14.6パーセントと漸増している。

外貨準備は、2008/09年は796億ドル、2010/11年は780億ドル、そして2011/12年は789億ドルと安定している。

中期的にはイラン経済の見通しは明るい。

(8月26日、記)
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注:関連情報はJAMEEF編集部が付記した。

(評論家 高橋和夫<たかはし かずお>)
http://ameblo.jp/t-kazuo/