一時的な財政支援の仕組みの必要性等で合意したカタールで開催のリビアの反体制派を後押しする「連絡調整グループ」の第一回会合
(2011年4月15日掲載)

 リビアの反体制派を後押しする「連絡調整グループ」の第一回会合が、2011年4月13日、カタールの首都ドーハで開催され、反体制派向けの一時的な財政支援の仕組みの創設が必要であることや、引き続きカダフィ大佐の退陣を求めて行くことで合意した。「連絡調整グループ」は、2011年3月29日にロンドンで開催されたリビア情勢を巡る外相級の国際会議で設置が決められたものである。ロンドンでの同会議には欧州主要国、一部アラブ諸国のほかアラブ連盟、国連等が参加していた。

 シェイク・ハマド・ビン・ジャシム・ビン・ジャービル・アル・サーニ・カタール首相兼外相とウィリアム・ヘイグ英外相が共同議長を務めた第一回「連絡調整グループ」会合は、主に以下を内容とする最終声明を発表し閉幕した。

   表 第一回「連絡調整グループ」会合の最終声明(要点)

番号 内                     容
参加者は、国連安保理決議1970号及び1973号に合致する物質的支援や人道的支援を含む反体制派への支援の継続で合意した。
カダフィ大佐及びカダフィ政権は正統性を喪失しており、カダフィ大佐は退陣しリビア国民が将来を決定するのを認めねばならない。
国民評議会は合法的な対話の相手であり、同評議会はリビア国民の願いを代表している。
連絡調整グループは、カダフィ大佐の存在が危機の解決を脅かしており、リビア国民が将来を決め得る包括的な政治プロセスがあるべきとの考えで一致している。
参加者は、リビアでの永続的な平和には政治解決が唯一の方法であることを再確認する。
参加者は、市民に対する一切の攻撃の即時停止及びカダフィ大佐及びカダフィ政権による武力をもって侵攻し占領・奪取した都市からの全ての政権軍の撤退を要求する。
参加者は、一時的な財政支援の仕組みが、国民評議会及び国際社会にとって短期的財政ニーズ及び構造的ニーズを遂行するための収入の管理方法であることで合意した。
国連事務総長は、リビアの人道状況は深刻であり、今後360万人にとって人道支援が必要になろうと報告した。
次回の「連絡調整グループ」の会合をイタリアで開催することで合意した。開催日は今後決定する。

 今回の会合で合意された財政支援の方法について、国民評議会で経済・財政相を務めるアル・タルフーニ氏は、同日ベンガジで次のように語った。

我々は、食料、医薬品、燃料、そして恐らく武器類の購入用として最低20億ドルの借り入れを行いたい。
カタールでの会合では選択肢としての短期借入案を友好国と協議した。
期間2年を考える借り入れはリビアの在外資産の凍結解除により返済される。

 タルフーニ国民評議会・経済財政相が言及した武器類の購入については、以下に見るように今回の会合の参加国の間でも供与の是非を巡り意見が分れた。

<シェイク・ハマド・ビン・ジャシム・カタール首相兼外相>
★武器供与の是非は議論の主要部分を占めた。
★リビア国民が自衛のために必要とするものは何であれ供与する。

<ヘイグ英外相>
武器禁輸はリビア全土を対象とするが、特定の状況下では例外措置もあろう。

<フラティニ伊外相>
国連安保理決議1973号は、リビア反体制派の自衛用の武器供与は禁止していない。

<スレファン・アケル・ベルギー外相>
★国連安保理決議が反体制派への武器類の供与を容認しているとは思わない。

<ウェスターウェレ・ドイツ外相>
★リビア問題は軍事的には解決できない。

<匿名希望の米政府高官>
★「物質的支援」に何が含まれるかでは、参加国ごとに見方が異なっていた。

<仏政府高官:3月13日のパリでの英仏首脳会談後>
キャメロン英首相とサルコジ仏大統領は、反体制派への武器供与が国連安保理決議に違反しないということで合意した。
反体制派はアラブ友好国から武器類を受領しよう。

<キャメロン英首相府声明>
英国は、衛星写真100枚に加えて防弾チョッキ1000着を反体制派に供与することを決定した。

<マウリジオ・マッサリ伊外務省報道官:カタール会合の前に>
★リビア反体制派への武器供与はカタールでの会合で議論されよう。

<国民評議会:ツイッター上で>
我々は国民評議会を公式に承認した国家群と武器取引を協議している。我々は前向きな答えを得ている。

 尚、停戦の可能性についてリビア攻撃を主導したフランスのジュッペ外相は、2011年4月13日のカタール会合後の共同記者会見で次のように語り、その可能性を否定しなかった。

我々は停戦を望んでいる。しかし、それには、単に戦闘を停止するだけのものではなく、実際に管理可能な真の停戦であるとの条件が付いている。
如何なる停戦も、国連決議に即したもので、カダフィ軍が占領した都市から撤退し兵舎に戻るものでなければならない。

 2011年3月29日のロンドン会議には参加を認められなかった国民評議会だが、今回の会合では、これまでの成果や参加国の任務に関する議論及び評価の部分に参加し積極的に意見も述べている。因みに、国民評議会のマフムード・ジブリール首相が、今週米国のワシントンを訪問することが決定した。米国務省のトナー副報道官代行が2011年4月13日、定例記者会見で明らかにしたところでは、国民評議会のマフムード・ジブリール首相は訪米中にスタインバーグ国務副長官や国防総省幹部等と会談する予定となっている。

 他方、先般米財務省から新たな資産凍結対象者リストに加えられたリビア政府のズリティニ財務・計画相は、2011年4月13日、トリポリで記者会見し、凍結された在外資産額等について次のように語った。

欧米等の制裁措置による凍結額は約1200億ドルである。
リビア政府は金(ゴールド)やその他形態等でまだ資産を保有している。
凍結された在外資産の解除を要求する。
反体制派への財政支援でリビア政府の資産を財源とすることには法的根拠がない。

(4月14日、記)
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(幹事 畑中 美樹<はたなか よしき>)