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| (2011年4月5日掲載) | ||
3月30日、トルコのエルドアン首相が、イラク北部のエルビルを訪問、クルディスターン地域政府のバルザーニー大統領以下の要人に迎えられた。同政府のホームページによれば、訪問はトルコ企業が建設したエルビル国際空港の竣工式にあわせて行われた。またトルコ領事館が、訪問にあわせて開設された。同空港は、世界の民間航空としては世界で第五番目に長い滑走路を有しており、年間300万人の利用者に対応できる。運営に関しては韓国のインチョン空港会社と契約が結ばれている。なお現在20路線で週50便が同空港を利用している。その多くはヨーロッパの主要空港との路線である。 空港は実際には何年も前から開港しており、正確には数ヶ月前に完成した新しいターミナルの落成式であろう。空港はイギリス企業の設計に基づきトルコ企業が建設した。 トルコ首相のイラクのクルド地域訪問は史上初の事件である。トルコで武装闘争を続けるPKK(クルディスターン労働党)のゲリラがイラクのクルド地域を聖域としているとして、過去においては、トルコはクルディスターン地域政府を非難し、また軍を国境地帯へ侵攻させてきた。 しかし、経済関係は順調に深まっている。エルドアン首相が領事館の開設式で行った演説によれば、昨年のトルコとイラクの貿易額は70億ドルに達した。その内の半分はイラクの北部諸州(つまりクルド人地域)とであった。また現在、5万5千人のトルコ人が、イラク北部での労働許可を得ている。 イラク北部は治安が安定し、各国からの投資によってブーム状態にある。このブームで一番潤ってきたのがトルコ企業である。そのトルコの中で一番潤ってきたのが、イラクに隣接した東部地域である。比較的に貧しい地域であり、クルド人の地域である。イラクで労働許可を得た「トルコ人」の多くは実はクルド人であろう。 かつてはトルコ政府が国内のクルド人を「山岳トルコ人」と呼んで、その存在さえ否定する政策を採った時代もあった。人口の四分の一がクルド人であると考えられているにもかかわらずである。ところがエルドアン首相の率いる公正発展党政権は、国内のクルド人の文化的な権利を認める政策を進めてきた。その一環として、たとえばクルド語による放送が一部で許可されてきた。 イラクのクルド人地域への訪問は、トルコ国内のクルド人の間でも支持される政策であろう。エルビル訪問は、外交であると共に公正発展党の東部地域での支持基盤の拡大を目指した国内政策でもあろう。 |
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| (4月1日、記) |
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| <関連情報> ●イラン・イラクにおける反政府デモ等の動き(3月13日時点)【2011/3/15】 ●在京イラク大使とヨルダン大使が都内で講演【2011/3/11】 ●多くのアラブ諸国で反政府デモや生活改善を求めるデモの行われた2月25日の金曜日【2011/3/1】 ●一般国民が電力を初めとする社会サービスの不足に抗議するデモを行ったり石油企業の日雇い労働者が労働条件の改善等を求めストを行うとの警告を発したイラク【2011/2/18】 ●チュニジア政変やエジプトでの大規模反政府デモの波及を恐れて自身の給与の半減や首相任期の制限を打ち出したイラクのマリキ首相【2011/2/7】 ●トルコ・アメリカ関係の焦点となるアルメニア・ロビーの活動【2011/1/7】 注:関連情報は編集部が付記した。 |
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| (国際政治学者 高橋和夫<たかはし かずお>) http://ameblo.jp/t-kazuo |