過去1年の資産売却で30億ディルハム(約8億4000万ドル)を調達した模様のドバイの政府系企業
(2010年9月7日掲載)

 ドバイの政府系企業のドバイ・ワールドとドバイ・ホールデイングは、過去約1年間の資産売却で少なくとも30億ディルハム(約8億4000万ドル、約714億円)を調達し、今後も債務の返済に向けたさらなる資産売却でさらに数十億ドルを調達する見込みである。これら2社は2006年から2007年にかけて幅広い分野の企業株や不動産などを購入していた。他方、エミレーツ航空やエミレーツNBDといったドバイ首長国にとっても貴重な資産を保有するドバイ投資社(the Investment Corporation of Dubai)は、現時点では資産の売却を予定していない。

 例えば、ドバイ・ホールデイング傘下の企業群の中でもドバイ・インタナショナル・キャピタル(DIC)は、2009年に二回に亘る取引でメルリン・エンターテインメンツの株式の17%を売却し23億5000万英ポンド(13億3000万ディルハム、約3億6400万ドル、約310億円)を得ている。ドバイ・インタナショナル・キャピタル(DIC)は、ドイツのアルミニウム・メーカーのアルマティスや英国のサービス企業アライアンス・メディカル、英国のトラベロッジ・ホテルズ、英国のエンジニア企業ドンカスターズの株主として知られている。

 また、やはりドバイ・ホールデイング傘下のドバイ・フィナンシャル・グループも、2009年12月にエジプトのEFG-Hermesの株式を売却して1億1400万ドル(約97億円)を調達したほか、2010年8月にはボンベイ株式市場の株式をジョージ・ソロス氏に売却して3500万ドル(約29億7500万円)を獲得している。さらに、同社は保有するマスカット銀行及びオマーン国家投資社ホールディングの株式売却交渉を進めているところである。加えて、ドバイ・フィナンシャル・グループは、キプロスのマーフィン人民銀行及びマーフィン投資の株式の一部も売却している。

 このほか、イスティスマールが2009年にインドのスパイス・ジェットの株式を2回の取引で売却し6320万ドル(約53億7000万円)を得ているほか、ロンドンのワン・トラファルガー広場をロシア人投資家に売却して1億7200万英ポンドを得ている。イスティスマールは2007年にバーニーズ・ニューヨークの株式の90%を9億4200万ドルで獲得したほか、シルク・ド・ソレイユの株式の20%、米国のディカント店として知られるLoehmann’sの株式の88%を持つことでも知られる。

 尚、ドバイ・ワールドとドバイ・ホールデイングは、流動性が高く余り重視していない資産については売却するものの、戦略的資産については出来るだけ保有して行く方針と言われる。

(9月6日、記)
<関連情報>

2010年上半期(1~6月)の売上高が前年同期比63%増に達したドバイ空港フリーゾーン【2010/9/3】

2010年度の財政赤字は予算で掲げた目標範囲内に収まるとの見通しを明らかにしたドバイ財政庁報道官【2010/8/31】

アジアで債券投資家向けの会合を開催するドバイ政府と営業債権者に600億円弱を返済したドバイ・ワールド傘下のナキール【2010/8/27】

債権者との会合を開催したものの決着には今少し時間を要する見込みのドバイ・ワールドの債務再編問題【2010/8/3】

債権銀行団に期間5年から7年での債務返済案を提示したドバイのデベロッパー・ナキール【2010/7/20】

2010年7月返済予定の借入金5億5500万ドルの2ヶ月繰り延べで銀行と合意したドバイ・ホールディング商業オペレーション・グループ【2010/7/13】

上級経営職の人事を刷新したドバイ・ワールドとリミットレスの業務を引き継ぐこととなったナキール【2010/7/6】

リスケ債務の支払いの第二段階を開始したドバイのデベロッパー・ナキール社【2010/7/6】

(幹事 畑中 美樹<はたなか・よしき>)