イランへの横流しの防止へクルド自治地区への石油製品の供給を50%削減したイラク中央政府
(2010年9月7日掲載)

 イラク中央政府は今般、クルド自治政府が余剰の揮発油やナフサなどの石油製品をイランに売却していることからクルド自治区への石油製品の供給を50%削減した。こうした動きは、既に緊張の高まっているイラクのアラブ人とクルド人の関係をさらに悪くする可能性を秘めている。

 クルド自治区への石油製品の供給の50%削減指示は、フセイン・アル・シャハリスターニ・イラク石油相自身が下した。石油省の文書は「石油相の指示に基づき、クルド自治区に対する揮発油やディーゼル油の配給を50%削減する」(http://thestar.com.my/news/story.asp?file-/2010/9/6/worldupdates/2010-09-05T213743Z_01_NOOTR_RTRMDNC_0_-512976^1&s...)としている。

 イラク石油省の高官は匿名を条件に、この決定がクルド自治政府のアシュティ・ハウラミ自然資源相の2010年8月の発言、即ち、クルド自治政府は余った石油製品を民間企業に売却しているとの発言に対応したものと説明している。これら民間企業は、購入した石油製品をイランに売却していた模様である。

 フセイン・アル・シャハリスターニ・イラク石油相は、イラクの法律では国家石油販売公社(the State Oil Marketing Organization、SOO)のみが海外に石油を販売することを許されているのだからと語り今回の措置の背景について補足説明を行っている。また、同相は、イラクには自給できるほど十分な石油製品がなく輸入すらしているのだから石油製品を海外に販売するのは許せない行為だとも述べている。

 先に登場したイラク中央政府の石油省高官は「クルド自治政府が石油製品の違法輸出を許す一方で、イラク中央政府は不足する石油製品の輸入に数百万ドルも使っている」(同上)と述べ、クルド自治政府の行為を強く批判している。他方、クルド自治政府の高官はイラク中央政府によるクルド自治区への揮発油やディーゼル油の供給制限の決定を非難すると共に、石油製品価格が高騰しないようあらゆる対策を取ると語り、逆に中央政府の今回の措置を強く批判している。

 実際、クルド自然資源省高官のセルワン・アブ・バキル氏は「石油製品の供給削減と言う決定は正義に反するものであり、我々としてはマイナス影響のでないようあらゆる手を尽くす」と述べ、クルド自治政府として市民に害の及ばぬよう全力を挙げることを確約している。

(9月6日、記)
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(幹事 畑中 美樹<はたなか・よしき>)