独自の「イランに対する国連安保理決議の履行に付随する措置」を閣議了解し発表した日本政府
(2010年9月7日掲載)

 日本政府は2010年9月3日、日本独自の対イラン追加制裁措置を発表した。「イランに対する国連安保理決議(第1929号)の履行に付随する措置について」と題する措置は、以下に見るように、1.不拡散分野、2.金融分野、3.貿易分野、4.運輸分野、5.エネルギー分野、の5本の柱から成っている(詳細は、外務省HPのhttp://www.mofa.go.jp/mofaj/area/iran/anpori_sochi1009.html をご参照ください)。尚、同措置では、資産凍結対象として新たに不拡散分野に関する88団体・24個人及び15金融機関の合計103団体・24個人を指定している。

<イランに対する国連安保理決議の履行に付随する措置について>

対象分野 主   な   内   容
1.不拡散分野
(1) 資産凍結(銀行以外)/入国・通過の防止対象の新たな指定
(2) 輸出管理
2.金融分野
(1) 資産凍結等によるコルレス関係の停止措置について(銀行)
(2) 資金移転防止及び金融機関の確認義務強化について
(3) 報告聴求及び検査実施について
(4) 保険等引き受け禁止の措置について
(5) 証券の仲介取引禁止の措置について
(6) 新たなコルレス契約の締結自粛の要請について
(7) 支店設置等の禁止について
(8) 本人確認義務等及び疑わしい取引の届出義務の履行の徹底について
3.貿易分野 貿易分野 イラン向け輸出信用について、(中略)中長期(2年超)は新規の供与・引き受けを行わない。短期は適切な引き受け条件を付し厳格な審査の下、対応する
4.運輸分野 イラン・イスラム共和国シッピング・ラインズ(IRISL)本体及び関連団体を資産凍結対象に指定し、外為法に基づき規制対象とする(外務省告示等)
5.エネルギー分野
(1) 石油・ガス分野の新規投資は、3.貿易分野の措置の実施により停止することとなる。
(2) 産業界は国連安保理決議第1929号の趣旨を周知し、イランとの取引について注意喚起を行う
(3) 石油・ガス分野関連事業者に対しては、イランでの探鉱開発・精製能力の増強等の新規プロジェクト(含む関連大型取引)について厳に慎重な対応を求めると共に、既存契約に基づく取引について十分に注意を払うよう要請することとする

 日本政府が新たなイラン追加措置を閣議で了解したことについて、イラン政府系のファルス通信は2010年9月3日には、日本の権益がイランの行動の対象となろうと伝えイラン政府による報復の可能性を示唆していた。しかし、ファルス通信は翌9月4日なると、イランの駐日本・アラグチ大使の話として、厳しい点はあるが国連安保理追加制裁決議の枠内での補足的なものにすぎず、二国間の経済関係に大きな影響はないとの見方を伝えた。恐らく、日本のイラン原油の輸入に影響が及ばない点に安堵しての発言と思われる。但し、ファルス通信は、同時に日本は米欧の圧力に屈せずバランスした政策を望みたいとの趣旨のアラグチ大使の発言も紹介する形で、我が国独自の対応を求めている。

 その米国は日本政府が対イラン追加措置を閣議了解した2010年9月3日、クリントン国務長官及びガイトナー財務長官が、①対イラン独自措置を歓迎する、②(日本の措置は)核拡散及びイラン核開発の阻止に向けた国際社会の取り組み上、大きな一歩となる、③日本はEU、豪州、加、ノルウェーと並ぶ責任ある国家である、④日本の決断が代償を伴う点は知っている、といった内容の共同声明を発表し歓迎している。

(9月5日、記)
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(幹事 畑中 美樹<はたなか・よしき>)