パレスチナ占領地での入植活動と関係のあるイスラエル企業2社の株式を「道徳的理由」により売却していたノルウェーの国家年金基金
(2010年9月3日掲載)

 ノルウェー財務省は、2010年8月23日、声明を発表し、同国の政府系ファンド(SWF)である国家年金基金が、保有してきたパレスチナ占領地での入植活動と関係のあるイスラエル企業2社の株式を「道徳的理由」により売却していたことを明らかにした。声明は売却理由などについて次のように述べている。

国家年金基金はダンヤ・セブス社の大株主であるアフリカ・イスラエル投資社及びダンヤ・セブス社の株式を売却した。
ダンヤ・セブス社は、パレスチナ占領地での入植開発に関与していた。
幾つかの国連安保理決議及び国際司法裁判所の諮問見解は、パレスチナ占領地でのイスラエル入植地の建設はジュネーブ条約で禁止されていると結論付けている。
それ故、道徳委員会の勧告を受け入れ、国家年金基金の投資運用先からアフリカ・イスラエル投資社及びダンヤ・セブス社の株式を除くこととした。

 尚、国家年金基金は2009年末時点で、時価にして720万クローネ(91万1000ユーロ、120万ドル)のアフリカ・イスラエル投資社の株式を売却済みである。また国家年金基金は、アフリカ・イスラエル投資社及び関連会社の株式を保有することは二度とないと述べている。

 因みに、同基金はマレーシアの森林関係企業であるサムリング・グローバルの株式も、同社の活動が環境上、問題があるとして売却したことも明らかにしている。

 ノルウェーの財務省は約一年前の2009年9月3日にも声明を発表し、同国の政府系ファンド(SWF)である国家年金基金が、イスラエル企業エルビット・システムズが西岸の分離帯建設事業に関与しているとして同社への投資を整理したことを明らかにしている。当時、ノルウェーのクリスティン・ハルフォルセン財務相が発表した声明は、次のように述べていた。

エルビット・システムズへの投資は、基本的な倫理基準の侵害という容認できないリスクとなっている。
国際司法裁判所は、西岸における分離帯の建設が国際法に違反するとの判断を下している。ノルウェー政府も同様の見解を示してきた。
エルビット・システムズを投資対象から外すのは、当該企業の置かれる国家の国籍が問題だからではない。
エルビット・システムズがイスラエル当局に納入している監視システムは、この分離帯、或いは分離壁の中核を構成している。

 「石油基金」との呼び名で知られるノルウェーの「国家年金基金」の運用資産額は、2010年6月末時点で4,487億ドル(3,532億ユーロ、2兆7,920億クローネ)と欧州最大の投資家となっている。ノルウェー政府は倫理基準を策定し、「特に非人間的な武器製造企業」や「大規模な人権侵害や腐敗、環境汚染を引き起こしている企業」「煙草製造企業」への投資を禁止している。この基準に基づきノルウェー財務省は8000社にのぼる投資企業の見直しを行い、倫理委員会の勧告に従って、ボーイング、ウォルマート、EADS、BAEシステムズなど約50社をブラック・リストに載せている。

(8月25日、記)
<関連情報>

ハリリ・レバノン元首相暗殺事件でイスラエル犯行説を打ち出したナスララ・ヒズボラ最高指導者の思惑【2010/8/27】

レバノン国会による沖合ガス田の調査・採掘法案の可決で懸念されるイスラエルとの領有権争い【2010/8/24】

対イスラエル及び対イラン政策を巡りややぎくしゃくするオバマ米政権とトルコの関係【2010/8/24】

イスラエル選手の参加した協議への出場を許可した自国の陸上連盟に抗議した「シオニスト機構との正常化に抵抗するバハレーン協会」【2010/8/13】

イスラエル、トルコも参加するガザ支援船急襲事件に関する調査委員会の設置を発表した国連【2010/8/10】

イスラエル企業エルビット・システムズへの投資を整理したノルウェーの国家年金基金【2009/9/11】

(幹事 畑中 美樹<はたなか・よしき>)