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| (2010年11月25日掲載) | ||
日本のメディアも伝えたように、2010年11月15日から5日間にわたる自国の核関連施設への攻撃を想定した演習をイランが開始した。報道されただけでも、今年に入ってからでも4月そして7月に続く大規模な軍事演習である。低空で飛行する巡航ミサイルを迎撃する新型のミサイル迎撃用ミサイルの発射実験が行われたのが、注目される。イランによれば、この新型のミサイルはロシアがイランへの輸出を拒否したS300に性能的には相当し実験は成功した。 仮に米国がイランを攻撃する場合には、イラン周辺海域に展開するアメリカ海軍艦艇からの巡航ミサイルの初期段階での大規模な使用が推測される。湾岸戦争やイラク戦争の開戦時がそうであったからだ。 またイスラエルの動向を考える上に、この演習はさらに意味深い。現在イスラエルは、イランの周辺の海域に巡航ミサイルを搭載した2隻の潜水艦を配備している。これはドイツから輸入されたドルフィン型と呼ばれる潜水艦である。イスラエルは潜水艦隊の増強を進めている。 仮にイスラエルがイランの核関連施設を攻撃する場合には、潜水艦の巡航ミサイルがレーダーなどイランの防空施設の攻撃に向けられると推測される。防空施設への攻撃は危険な任務であり、航空機では撃墜される可能性もあるからである。 将来イランが核兵器を保有する場合には、そしてイスラエルが核兵器を保有するイランとの共存を受け入れる場合には、イスラエルはイランに対する第二次攻撃能力が必要となる。第二次攻撃能力とは、核攻撃を受けても十分な核戦力を生存させ、相手に受け入れがたいほどの打撃を与える能力をさす。二つの核兵器保有国が、それぞれ第二次攻撃能力を保有すれば、双方ともに先制攻撃への誘惑は低下する。両国の関係は軍事面で安定する。これが冷戦期に米ソ間に成立していた恐怖のバランスの実態であった。イスラエルは潜水艦に搭載している巡航ミサイルに核弾頭を装備すればイランが核武装した場合には第二次攻撃能力を獲得できる。イランにはイスラエルの潜水艦を補足し撃沈する能力がないからである。 しかし仮にイランが巡航ミサイルの撃墜能力を飛躍的に向上させるとすると、潜水艦の巡航ミサイルは第二次攻撃能力ではなくなる。弾道ミサイルを潜水艦から発射する能力の獲得をイスラエルは考慮するだろう。弾道ミサイルの迎撃は巡航ミサイルよりもはるかに困難だからだ。もちろん前提は、将来イランが核兵器を保有し、しかもイスラエルがイランの核兵器と共存するという二つの仮定であるが。 |
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| (11月21日、記) |
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| <関連情報> ●制裁圧力の高まるなか東南アジアで石油貯蔵施設の確保に努めるイラン石油公社(NOC)【2010/11/19】 ●核協議を12月上旬に欧州で再開することを提案した欧州連合(EU)のアシュトン外務・安全保障政策上級代表(外相)【2010/11/16】 ●場所と時期が焦点となってきた国連安保理5カ国にドイツを加えた6カ国とイランとの核開発を巡る協議【2010/11/12】 ●イランからの資金受領を認めると共に米国ほかからの供与にも言及したアフガニスタンのカルザイ大統領【2010/11/2】 ●イラン宗教界の反政府の動きを示唆する最高指導者ハメネイ師による聖都コムへの長期訪問【2010/10/26】 ●中国の企業や銀行によるイラン制裁決議違反の懸念を複数回に亘り中国政府に伝えたオバマ米政権【2010/10/22】 ●11月中旬からの三日間となりそうなイランと国連安保理5カ国にドイツを加えた6カ国との核開発協議【2010/10/19】 ●コンピューターウイルス「スタックスネット」の攻撃を受けた模様のイラン産業関連コンピューターシステム【2010/10/19】 |
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| (国際政治学者 高橋和夫<たかはし かずお>) |