食料不足の回避には今後20年で1440億ドルもの農業投資が必要となるアラブ諸国
(2010年5月14日掲載)

 アラブ農業開発機構(the Arab Organization for Agriculture Development)のタリク・ア・ザドジャリ専務理事は今般、メディア・ラインに、アラブ諸国が人口増加による食料需要を充足するには、今後20年で約1440億ドルを農業部門に投資する必要があることを明らかにした。同専務理事の主な発言内容を整理すれば次のようになる。

農業部門の拡大に必要な資金の大半をアラブの民間投資家に頼らなけれならない。
アラブ諸国の食料安全保障の年間不足額は270~290億ドルに達する。
アラブ農業開発機構はこの不足分を減らしたいと考えている。
中東の現在の人口は約3億3500万だが、2030年には5億4500万に達すると予測される。
そうなれば、十分な投資がない場合の食料不足額は710億ドルにも達する。
そこでアラブ農業開発機構は食料安全保障を高めるプログラムに取り組んでおり、特に小麦、米、砂糖、植物油の増産に力を入れている。
我々はアラブ諸国内と非アラブ諸国の双方に投資する必要がある。
但し、優先順位は、自然資源と資本の可能性のあるアラブ諸国内に置かれている。
何故ならば、アラブ諸国内での食料生産が高まれば、一定水準の食料需給を達成できるからである。

 また、農業開発国際基金(the International Fund for Agriculture Development、IFAD)のマイリーン・ヘラッラー地域エコノミスト(中東・アフリカ担当)は、アラブ諸国の食料安全保障について次のように見る。

中東・北アフリカ地域が食料安全保障面で直面する最大の課題は、水資源の不足である。
アラブ地域は世界で最も乾燥した地域の一つであるので、食料生産により自給するのは困難である。
この地域は水資源をもっと有効に使用せねばならない。
アラブの食料安全保障を充足するには、一方で生産を増やし、他方で国際及び地域市場に常に安定的に依存する必要がある。その両方が必要である。
国内市場での供給向けに国際市場を今一度見直す必要がある。
二つ、三つ、四つの長期策が必要である。
それらは、国際市場に依存しつつ、地域レベルでの協力を強化し、地域備蓄を図ることである。
またアラブ諸国は、地域での生産性の向上を図る必要もある。まだまだ改善の余地は大きい。

(5月12日、記)
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(幹事 畑中 美樹<はたなか よしき>)