国連安全保障理事会での新たな対イラン制裁案の採択に向けて動き出した米国
(2010年3月12日掲載)

 イランの核開発を巡る動きは、米国が国連安全保障理事会での新たな対イラン制裁案の採択に向けた活動を始める一方、イランは米国の動きをけん制しようと新型の短距離巡航ミサイル「ナスル(勝利)1」の生産を開始した旨、明らかにしている。以下では2010年3月3日から9日までの動きを整理してみた。

3月3日 米国のクリントン国務長官が、対イラン新制裁案への同意の確保などを目指した南米歴訪に出発した。同長官は同日、ブラジルでルラ大統領、アモリン外相と会談し国連安全保障理事会による対イラン追加制裁決議案への支持を要請した。しかし、会談後の共同記者会見でブラジルのアモリン外相は、核兵器のない世界を目指す点では意見を共にするものの、賛成できない考えに同意することはできないとの言い回しで国連安全保障理事会での対イラン追加制裁決議案には反対であることを示唆した。

3月4日 同日付のNYT紙は、米国が国連安全保障理事会の常任理事国(英国、フランス、ロシア、中国)に、対イラン追加制裁決議の草案を配布したと報じた。草案は革命防衛隊の関連企業の活動の阻止に焦点が当てられているという。米国は4月中での採択を目指している。但し、中国の劉振民・国連次席大使は、対話と圧力の二面で対応すべきであり制裁で問題は解決しないと主張し追加制裁に難色を示した。中国以外にも、非常任理事国のトルコ、ブラジル、レバノンも追加制裁に慎重姿勢を示している模様である。

3月6日 英軍事情報会社のジェーンズ社が、イランが開発している人工衛星用新型ロケット「シムルグ3」のエンジンが北朝鮮の長距離弾道ミサイル「テポドン2号」の構造とよく似ているとの分析結果を明らかにした。

3月7日 中国の楊外相が全国人民代表大会で記者会見し、①イランの核問題については外交努力の余地がまだある、②制裁では問題の根本的な解決にならない、との考え方を示した。さらに、同外相は、各国は引き続き外交交渉による解決を目指すべきであると言明した。

ペトレアス米中央軍司令官がCNNテレビで、「イランの最高指導者ハメネイ師は恐らく核兵器を入手するとの最終的な決断は下していないのではないか」「但し、イランは最高指導者ハメネイ師による最終的な決断を下せるよう核開発とミサイ開発の計画を進めているのであろう」との見方を示した。

イランの報道機関が、同国が新型の短距離巡航ミサイル「ナスル(勝利)1」の生産を開始したと報じた。同ミサイルの生産を開始したと宣伝することでイランがホルムズ海峡を航行するオイルタンカーなどへの攻撃能力を持っていることを誇示し、米国やイスラエルによる自国への攻撃を抑止する狙いがあるものと思われる。

3月9日 イスラエルを訪問中の米国のバイデン副大統領がネタニヤフ首相と会談後の記者会見で、①米国はイスラエルの安全保障を絶対的且つ完全に誓約している、②米国はイランによる核兵器の保有は阻止する決意である、③米国はイランに対してテロ組織への支援を止めるよう求める、と発言した。


(3月9日、記)
<関連情報>

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(幹事 畑中 美樹<はたなか よしき>)