投票率は62%と前回の76%を下回ったものの何とか無事に行われたイラクの連邦議会選挙
(2010年3月12日掲載)

 2010年3月7日に実施されたイラクの連邦議会選挙は、投票率こそ62.4%と前回(2005年)の76%を大きく下回ったものの懸念された大きな混乱はなく終了した。勿論、迫撃砲やロケット弾などを使った選挙妨害がイラク全土で60件ほど発生したものの、アル・カイダなどの連合体である「イラク・イスラム国」がテロ攻撃を予告していたことから見れば総じて平穏な雰囲気の中での選挙となった。

 こうしたこともあってマリキ首相は、投票時間の終了後、テロリストが敗北しイラク国民の意思が勝利したと発言している。米軍の時間表通りの撤退のためにも今般の議会選挙が成功裏に終わることを切望していた米国のオバマ大統領も、2010年3月7日、①脅しに屈することなく投票したイラク国民に敬意を表する、②イラク国民は政治プロセスを通じて未来を形成する道を選択した、との趣旨の声明を発表している。またオバマ米大統領は、2010年8月末での米軍戦闘部隊の撤退という当初の予定について、今回の議会選挙が無事に実施されたことはイラクの治安部隊の治安維持の能力が示されたことを意味すると語り、時間表通りに撤退させる意向を明らかにしている。

 注目される選挙結果については、完全に判明するのは3月中旬以降となる見通しである。今後の組閣だが、一応イラクの憲法では、選挙結果が確定してから15日以内に招集される新連邦議会が新大統領を選出する規定となっている。そして、その新大統領は、選出から15日以内、従って選挙結果が確定してから30日以内に、選挙で最大勢力となった会派の指名する首相候補に、その時点から30日以内で組閣を終了するよう指示する仕組みとなっている。

 即ち、今後日程的には、
「3月中旬以降での選挙結果の確定→3月末から4月上旬までの期間での新連邦議会の開催及び新大統領の選出→4月中旬頃での首相の指名→5月中旬頃での組閣の終了」ということになる。つまり、確定する選挙結果自体が重要になると共に、それから約2ヵ月間の組閣の過程での各会派、各宗派などの駆け引きが、今後のイラクの進む道にとっては極めて重要になってくる。因みに、これまでのイラク国内の報道を見るとマリキ首相の率いる勢力である「法治国家連合(SLC)」がやや優位に立っているようだ。但し、最大の政敵でもあるアラウィ元首相がまとめる「イラク国民運動」も健闘している模様である。尚、どの勢力が最終的に最大会派になるにせよ、単独で過半数を確保することは難しく何れにせよ連立政権になるとの見方が有力である。

(3月10日、記)
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(幹事 畑中 美樹<はたなか よしき>)