対イラン追加制裁を発表した米財務省・欧州連合(EU)と新制裁案を承認した米上下両院
(2010年6月29日掲載)

 米財務省は2010年6月16日、対イラン追加制裁を発表した。ガイトナー米財務長官は記者会見で、次のように語り、イランに対する圧力を益々高めて行く姿勢を鮮明にした。

我々はこれからも、イランのテロ組織支援を制裁の標的として革命防衛隊に焦点を合わせる。
我々はこれからも、国際的な制裁をかいくぐろうとするイランの行動の暴露を継続して行く。
我々は今後数週間で、イランに対する金融面の圧力強化に向けた追加措置を導入する。

 尚、米財務省が新たに発表した対イラン追加制裁の対象企業・個人は以下の通りである。これらの企業・個人は、米国内の資産が凍結されるほか、米企業・個人との取引が一切禁じられる。

ポスト・バンク・オブ・イラン
既に制裁対象となっているセパ銀行を代行する形で活動してきたため新たに制裁対象に追加された。
イラン革命防衛隊関連団体・個人
1)革命防衛隊空軍・ミサイル指令部門
 ~弾道ミサイル開発に関係していることが理由とされた
2)Rah Sahel社及び Sepanir石油ガス・エンジニアリング社
既に制裁対象とされたKhatam al-Anbiya Construction Headquartersと関連があるため
3)ムハンマド・アリ・ジャファリ氏及びムハンマド・レザ・ナクディ氏
 ~革命防衛隊でミサイル開発に従事しているため
大量破壊兵器開発に関わる2団体・2個人
1)Kalaye Electoric 社の仕入れ仲介企業であるJavadan Mehr Toos社
2)The Naval Defense Industry Group
3)ジャヴァド・カリム・サベト氏及びアフマド・ヴァヒディ氏
イラン・イスラム共和国シッピング・ラインズ関連5企業
1)Hafiz Darya Shipping社(HDS Lines)
2)Soroush Sarzamin Asatir Ship Management社
3)Safiran Payam Darya(SAPID)Shipping社
4)Seibow Limited及びSeibow Logistics(香港を拠点としている)

 また欧州連合は2010年6月17日、ブリュッセルで首脳会議を開催し、イランのエネルギー部門に焦点を当てた形の追加制裁の発動を決定した。今回EUが独自で発動を決めた制裁案は、これまでに発動している核やミサイルの開発との関連が疑われる商取引や貨物の運輸の禁止に加えて、石油・ガス産業を制裁対象としたほか、イラン金融機関の欧州での営業にも制限を加えている。尚、詳細については2010年7月開催のEU外相会議で決められる。

 こうした米国、EUの追加的な制裁措置の決定にロシアは反発を強めている。例えば、ウラジミール・チズホフ駐EU・ロシア大使は次のように語り批判する。

我々は米国、EUの独自追加制裁を支持しない。我々はこれらが内容においても、戦術においても完全に間違っていると考える。
国連制裁1929号に含まれるものは賢明な措置だが、EUによる追加措置はそうではない。
イランに核開発計画を断念させたいのなら、石油・ガス産業向けの設備の供給を止める必要があるのか。
米国、EUの独自制裁はイランに核開発を断念させるのを難しくする。何故ならば、イラン政府高官は、直ちに世界の有力国の考え方が違う点を感じ取るからだ。
我々は米国、EUの独自制裁がロシア企業のイランにおける権利や活動に干渉することを認めない。
ロシアがEUにどこまで協力するかは、EUがロシア企業のイランでの権益をどこまで尊重するのかにかかっている。

 さらに米上下両院は2010年6月25日、新制裁案を承認しオバマ大統領の承認を得るべく送付している。この制裁案について民主党のハリー・レイド上院院内総務は、体制が最も痛むところを対象としたと説明する。実際、同制裁案は、イランに石油製品を供給する企業を米市場から締め出すことや、イランのエネルギー部門に融資したり保険・船舶サービスを供与した企業の米市場からの締め出しなどを謳っている。ジョン・マケイン上院議員は同案について、イランとビジネスをしたいのか、或いは、米国とビジネスをしたいのかの選択を迫るものと説明している。

(6月27日、記)
<関連情報>

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(幹事 畑中 美樹<はたなか よしき>)