シリアのアサド大統領の仲介によりダマスカスで会談したアラウィ・イラク元首相とムクタダ・サドル師
(2010年7月23日掲載)

 2010年3月7日に実施された連邦議会選挙で第一党となる91議席を獲得したイラク国民運動(イラキヤ)の指導者で元首相のイヤード・アラウィ氏と、イラク国民同盟(INA)内のサドル勢力をまとめており39議席を得たムクタダ・サドル師が、2010年7月19日、シリアの首都ダマスカスでアサド大統領の仲介により会談した。

 シリア国営通信(SANA)は、アサド大統領がイラクの統一やアラブの一体化・主権の維持に資するイラク内の如何なる協定も支持すると語ったと伝えた。また、シリア入りしたイラク国民運動(イラキヤ)のイヤード・アラウィ元首相は、シリアが数十万人と言われるイラク難民を引き受けてくれていることやイラクの安定化努力を支援してくれていることに感謝の意を表した。

 イラク国民同盟(INA)に属しながらもヌール・マリキ首相の続投に強く反対するムクタダ・サドル師は、イランに実質上の海外亡命をしていることもあって、選挙後にイラクの有力政治家と会談するのは初のこととなった。ムクタダ・サドル師は配下の武装勢力を使って反米闘争を行っていたが、そのために2004年に逮捕状が出されている。ムクタダ・サドル師はイラクに戻った場合、この罪状で逮捕されるのを懸念してイランに留まっているとされる。

 イラク国民運動(イラキヤ)の指導者で元首相のイヤード・アラウィ氏と会談したムクタダ・サドル師は、次のように語り、連携に前向きであることを示唆した。

私はイラク国民運動(イラキヤ)が譲歩する容易のあることを知った。
私は法治国家連合(SLC)に対して、イラク国民のために同じように振舞うよう呼びかける。

 他方、イヤード・アラウィ元首相及びイラク国民運動(イラキヤ)の重鎮であるファタハ・アル・シェイク氏は、ムクタダ・サドル師との会談後、次のように述べている。

政府の成立を急ぐ必要のあることでの合意はある。それは全てのイラク国民を含まねばならない。(イヤード・アラウィ元首相)。
二人は、今回の会談を称して、マリキ首相抜きでの新政府の形成に向けた最後の言葉、最後の決定と呼んでいた。(ファタハ・アル・シェイク氏)。

 尚、米国やバース党員との関係について聞かれたムクタダ・サドル師は、次のように答えていた。

米国は全てを滅茶苦茶にし、イラクを不安定にし続けている。
自分は米国に対してレッドライン(超えさせない線)を持っている。
自分はバース党にもレッドラインを持っているが、対米国に比べれば幾らか緩やかである。

            表 主要政党・会派の構成

政党・会派名

構成政党及び首相人物

そ の 他

イラク国民運動
(イラキヤ)

イラク国民合意
(アラウィー元首相ほか)、
イラク国民戦線
(サーレフ・アル・ムトラク氏ほか)
アドナン・パチャーチ元外相、タジュティード(ターレク・アル・ハシミ副首相など)等

世俗色濃厚

法治国家連合
SLC

ダアワ党(マリキ首相ほか)、
イスラム・トルクマン連合、
独立ブロック(シャハリスターニ石油相ほか)等

 

イラク国民同盟
INA

イラク・イスラム最高評議会(ISCI)、
バドル組織、
サドル勢力、
ダアワ党・イラク、
国民改革運動(ジャファリ前首相ほか)、
イラク国民会議(チャラビ元副首相ほか)等

シーア派色濃厚

イラク統一運動

ジャラード・アル・ボワニ内相、
イラク覚醒評議会(アブ・リーシャ議長ほか)

 

クルド連合

クルド民主党(KDP)、
クルド愛国同盟(PUK

 

クルド変革ブロック

ネチェルバーン・ムスタファほか

クルド愛国同盟(PUK)から分離


(7月20日、記)
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(幹事 畑中 美樹<はたなか よしき>)