イラン向けの石油製品を輸送する船舶の保険・再保険の引き受け拒否の方針を決めた英ロイズ保健組合
(2010年7月13日掲載)

 英ロイズ保健組合は2010年7月9日、イラン向けの石油製品を輸送する船舶の保険・再保険の引き受けを拒否する方針を決定した。同社の声明は、この決定について次のように説明している。

米国はロイズにとって重要な市場であり、このことを認識しているので、イラン向けの石油製品を輸送する船舶の保険・再保険を引き受けないこととした。
ロイズはいつでも適切な制裁には従って行く。

 イランは世界第五位の産油国ではあるものの戦争や制裁による必要な投資の欠如から精製能力の不足に見舞われており、例えば、ガソリンの場合、国内需要の約40%を輸入に依存せざるを得なくなっている。但し、欧米系石油企業や石油トレーダーの多くは、米制裁違反となることを恐れてイランへの石油製品の輸出を停止している。このためイランは友好国からの輸入に切り替えることを余儀なくされており、2010年7月ではガソリン輸入のほぼ半分がトルコからのもので、残りも中国の供給者からのものとなっている。

 タルボット・アンダーライティングのルイーズ・ネビル海運保険部長は「イランにとっては、益々保険の付保が難しくなろう」「米国のものであれ、国連のものであれ、制裁はロイズ保険組合に影響するだけでなく、全ての保険業者に影響を与える」「これはイランにとっては苦闘となるであろうし、(米制裁は)恐らく最終的には何らかの望まれた効果を生むことになるだろう」(アラブ・ニューズ紙 2010年7月11日)と述べ、イランには厳しい状況となりつつあるとの見方を示した。

 米国外交政策国家委員会のJ.ピーター・ファム上級研究員も「歴史的に言ってロイズは業界の指導的立場にあり、多くがその動向に従ってきた」「米欧市場の価値と限定されたイラン市場の価値とを考えなければならない」(同上)と述べ、ロイズ海上保険が海上保険全体に占めるシェアは15~20%であるものの影響力は遥かに大きいことを指摘する。

 因みに、事実の程は定かでないものの、パリに本拠を置くイラン抵抗国民委員会は2010年7月上旬、過去4ヶ月に亘り収拾した情報によれば、過去4年の対イラン制裁が効き始めており核開発計画に直接の影響が出ているほか、銀行の流動性の問題も引き起こしているとの見方を示した。但し、同勢力はイラン政府からは取るに足らない組織と見なされているほか、米国ではテロ組織と分類されている。

(7月12日、記)
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(幹事 畑中 美樹<はたなか よしき>)