イラン包括制裁法案に署名したオバマ米大統領とウラン濃縮20%の停止を示唆する発言を行ったイラン国会国家安全保障・外交委員長
(2010年7月6日掲載)

 オバマ米大統領は2010年7月1日、イラン包括制裁法案に署名した。オバマ大統領は署名に際し、次のように述べイランに警告を発した。

今回のイラン包括制裁案はこれまで米議会が採択したなかで最も厳格なものであるので、イランは石油製品の購入や石油・ガス部門の近代化に必要な財・サービスの購入が益々難しくなろう。
外交の扉はまだ開かれているが、国際社会によるウラン濃縮停止の呼びかけに応じなければ、イランはさらに大きな国際的圧力に晒されることになろう。
米国と国際社会はイランによる核兵器の取得防止を決視していることに疑いの余地はない。
今回の制裁は、これまでの制裁と共に、イランの核計画に資金を供与し開発する能力の中心部を叩くものである。
我々はイランに対して同国の行動には影響が伴うことを示している。

 米国は今回のイラン包括制裁法案により、イランにガソリンを供与する企業に罰則を適用するほか、イランの革命防衛隊や核計画に関わる国際的銀行も罰することになる。イランの主要銀行や革命防衛隊と取引のある外国の銀行は、米国の金融システムへのアクセスが認められなくなる。イランにガソリンを供給する外国企業も、米国の銀行システムや米国での不動産取引、外国為替を禁止される。さらに、イランの人権侵害に利用される通信監視技術などをイランに供給する企業は米政府の調達対象から外される。

 オバマ米政権は今回のイラン包括制裁法案によりイランの最も脆弱なエネルギー部門に打撃を与えることを目指している。イランは世界第五位の産油国ではあるものの、製油所の老朽化からガソリン需要の最大40%を輸入に依存している。他方、自国の精製部門の脆弱性を認識するイランは、政府補助金の削減などを通じて国内消費を抑制する一方、精製能力の強化により2年以内でガソリンの自給自足体制を確立するとしている。具体的には、ゼイカミ・イラン石油省次官が、2010年6月24日、現在国内の5ヶ所でガソリン精製施設の建設が進められているので、完成時には一日当たり1億3000万リットルの生産が出来るようになるとしている。

 ところで、イラン国会のアラッディン・ボルジェルディ国家安全保障・外交委員長は、2010年7月4日、「イランの研究用原子炉向けの燃料が供与されるならば、イランは同原子炉向けの燃料を国内で生産する必要はなくなる」と語り、ウラン濃縮20%の停止を示唆する可能性に言及した。この発言がイラン政府の公式見解であるのか否かは現時点では定かではないが、国際社会の反応を探ると共に分断を図る狙いがあるものと思われる。

(7月5日、記)
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(幹事 畑中 美樹<はたなか よしき>)