過去の経緯から廃止されていたリビア就航便の再開を検討中と伝えられるエアフランス
(2010年8月31日掲載)

 170人の乗員・乗客が死亡した1989年の航空機爆破事件を契機にリビア便を取りやめてきたエアフランスが、約20年振りに再開を検討中と伝えられている。
エアフランスの広報部長は2010年8月23日、いつ決定が下されることになるのかをあきらかにしないまま、AFP通信に対して、「パリ・シャルル・ドゴール空港からトリポリ空港に至るルートは、エアフランスにとって潜在的に関心のあるルートの一つである」(ミドル・イースト・オンライン 2010年8月23日)と語った。

 フランスではリビア便の再開はやや微妙な問題である。何故ならば、フランス検察当局が、1989年9月19日、UTA機がニジェール上空で爆破し墜落した事件は、その後の爆発物の鑑定などからリビアの諜報機関の指示により実行されたものとの結論を下しているからである。この事件を契機にフランス・リビア関係は極度に悪化した。

 その後、リビアのカダフィ大佐が2003年12月に大量破壊兵器の放棄宣言を行うと共に、翌2004年になって犠牲者の家族向けの補償基金に調印したことからフランス・リビア関係は良化し今日を迎えている。実際、最近ではカダフィ大佐がフランスを公式訪問し、パリ市内に巨大なテントを張って宿泊するといった関係にまで発展している。

 こうした関係の改善を背景としてエアフランスの広報部長は、2010年8月23日、「エアフランスはフランスとリビアとの経済関係の発展を詳細に追っているほか、シャルル・ドゴール空港経由での運輸ルートの再開の潜在性も検討している」(同上)と述べている。欧州系の航空会社では既に英国航空やルフトハンザ航空、アリタリア航空、KLM航空、オーストリア航空などがリビアの首都トリポリへの便を再開している。こうした競合企業の動きを意識してかエアフランスの広報部長は「エアフランス・KLMのパートナーシップで考えれば、既にアムステルダム~トリポリ便が週に6便就航している」(同上)と説明する。因みに、このパートナーシップでは、エアフランスはKLM便の予約を同社と共同で行っている。

 注目される操縦士の組合SNPLの広報部長は「原則として我々は反対していない。但し、全ては条件と給与による」(同上)と答えている。尚、SNPLは以前、同ルートの再開に反対し潰した過去を有している。因みに、フランス発行のビジネス誌ラ・トリビューンは、エアバスA320機を使った週4便の再開が予定されていると報じている。

(8月26日、記)
<関連情報>

大使館職員の国外追放や布教活動者の逮捕などで急速に悪化するリビア・韓国関係【2010/7/30】

最終的にエル・アリーシュ港(エジプト)に入港したカダフィ国際慈善開発財団(リビア)のガザ支援船【2010/7/16】

リビアとの関係修復に向け補償金を用意したことを明らかにしたスイス外務省報道官【2010/6/29】

二重課税防止条約の二回目の交渉で期首合意に達したリビアとアラブ首長国連邦(UAE)【2010/6/25】

パパンドレウ・ギリシャ首相のリビア公式訪問で戦略協力覚書を締結した両国【2010/6/22】

ようやく釈放された4ヶ月の禁固刑に処せられていたスイス人ビジネスマン【2010/6/15】

(幹事 畑中 美樹<はたなか・よしき>)