石油輸出国機構(OPEC)は70ドルから80ドルの油価水準に満足するもジレンマも抱えると見る英国の研究機関
(2010年8月31日掲載)

 ロンドンの世界エネルギー研究センター(the Centre for Global Energy Studies、CGES)が2010年8月23日に発行した月刊市場報告書は、石油輸出国機構(OPEC)が現在の70ドルから80ドルという油価水準に満足しているものの、同時にジレンマも抱えているとの分析を行っている。興味深い分析なので、以下では要点を紹介することとしたい。

現在OPECは原油価格を彼らの望む水準に保ちうる立場にあるが、それはコストも伴うものでもある。
コストというのは、世界経済の回復がより緩やかなものとなっており、今少し低い原油価格であれば伸びていたであろう程には原油需要が拡大していない点である。
勿論、原油需要は増大しているものの、先進国の経済回復の勢いが失われつつあるとの懸念も台頭している。
2009年10月以降、指標とするOPECバスケット価格は1バレル当たり70ドルから80ドルの範囲で取引されており、上昇・低下の兆候は見せていない。
その結果、世界経済が回復したか否かや、それが原油需要にどのような影響を与えるかと言ったニュースやセンチメントにより原油価格は上下変動している。
現在の原油価格水準はOPECに新たなエネルギー・インフラへの投資も可能としている。
70ドルから80ドルと言う原油価格は、産油国にも石油産業にも心地よいものである。旧油田の産油量の減少を補うために必要とされる複雑な新規事業を行うことが可能となるからである。
この水準の原油価格は石油消費国の政府にも受け入れ易いことが示された。高価格は環境対策を可能とするからである。
しかしながら、高水準の原油価格を好ましく思わない集団が一つある。それは石油の消費者たちである。即ち、暖房や家電製品、自動車、産業用燃料のためにエネルギーを購入せねばならない個人や実業界である。

 OPECは2010年10月14日から本部のあるウィーンで次回の総会を開催することとなっている。ここに来て生産枠の順守率も大きく低下しているだけに、OPECがどのような動きを見せるのか注目される。

(8月26日、記)
<関連情報>

大使館職員の国外追放や布教活動者の逮捕などで急速に悪化するリビア・韓国関係【2010/7/30】

最終的にエル・アリーシュ港(エジプト)に入港したカダフィ国際慈善開発財団(リビア)のガザ支援船【2010/7/16】

リビアとの関係修復に向け補償金を用意したことを明らかにしたスイス外務省報道官【2010/6/29】

二重課税防止条約の二回目の交渉で期首合意に達したリビアとアラブ首長国連邦(UAE)【2010/6/25】

パパンドレウ・ギリシャ首相のリビア公式訪問で戦略協力覚書を締結した両国【2010/6/22】

ようやく釈放された4ヶ月の禁固刑に処せられていたスイス人ビジネスマン【2010/6/15】

(幹事 畑中 美樹<はたなか・よしき>)