国際的な石油企業との契約の見直しが必要と主張し始めたイラクのサドル勢力
(2010年4月28日掲載)

 2010年3月7日の連邦議会選挙で約40議席を獲得し、連立政権の形成において重要な役割を果たしつつあるサドル勢力が、イラク政府と国際的石油企業10社が結んだ石油開発契約に異議を唱え始めている。ムクタダ・サドル師に率いられるサドル勢力は、一時、勢力内の統制の乱れもあって米国と武力衝突していたものの、今では組織化され効率的な政治組織へと見事に変身している。

 サドル勢力の有力メンバーであるサーレハ・アル・ムハンマダウィ氏は、今般、次のように語り、これら契約の見直しが必要であるとしている。

これらの契約に含まれる一部の条項は、明らかに、イラク経済を害するものであり、経済的侵略に値するものである。
これに加えて、イラク政府の調印した外国石油企業との契約は、議会の承認を受けていない。これは受け入れ難い。
イラク石油省は、これらの契約を通すために付与された権限を逸脱し、認められる法的範囲を超えて活動した。
サドル勢力が主張しているのは、国際的石油企業に対する不満ではなく、契約が結ばれた手続きに不満を言っているのである。
どのような取引であれイラク国民の権益を擁護し、イラクの法律に即していなければならない。
我々は契約を破棄を主張しているのではなく、条件の変更が必要と言っているのである。契約は読み返され、書き換えられなければならない。

 これに対して、法治国家連合(SLC)のサアド・アル・バヤティ議員は、以下のように反論している。

契約は良好なもので、イラク・国際的弁護士に承認されたもので、イラクの権益に合致している。
契約は議会の次の会期に提出され承認される。
契約がイラクの国益に即しているのだから、議会での承認で何ら問題が起きるとは思わない。

 またイラク国民運動(イラキヤ)のハニ・ヒラール上級顧問も、次のように述べ契約を擁護している。

旧政府が合意した契約だからと言って破り捨てることは出来ない。そんなことをすれば、我が国と取引する石油企業は今後50年も出なくなってしまうし、短期的にも罰則条項で大きな金銭的被害を受けることになる。
但し、将来の契約が議会に提出され、その承認を必要とするということには同意する。

(4月26日、記)
<関連情報>

イラクのアル・カイダ系組織の指導者2名の死亡を明らかにしたマリキ首相【2010/4/23】

外国企業の関心の高まりで50万戸から100万戸に倍増されたイラクの住宅建設事業【2010/4/13】

連立政権の樹立に向けた交渉の続くイラクの首都バグダッド中心部で連続自爆テロが発生【2010/4/6】

米調査機関がイラク産油量の計画通りの拡大は不可能と見るなか5億ドルの投資を決めたBP【2010/4/6】

イラク国民運動(イラキヤ)と法治国家連合(SLC)による連立政権を目指した争いが当面の焦点となった連邦議会選挙後のイラク情勢【2010/4/2】

(幹事 畑中 美樹<はたなか よしき>)