欧州やロシア企業が供給を停止するなかイラン向けガソリン輸出を開始する中国石油企業
(2010年4月16日掲載)

 石油業界筋は2010年4月14日、米国の新たな経済制裁の発動を警戒して各国石油企業がイラン向け石油製品の供給を停止するなか、中国の石油企業チャイナ・オイル(中国石油)が4月分として2隻分の石油製品をイラン向けに手配したことを明らかにした。チャイナ・オイル(中国石油)が今般イラン向けに売却したのは約60万バレル相当の石油製品で、販売額は約5500万ドル(約49億5000万円)にのぼった。

 チャイナ・オイル(中国石油)がイラン向けに石油製品を直接輸出するのは、分かっている限りでも2009年1月以来のことである。その後、チャイナ・オイル(中国石油)は米国を刺激するのを回避するためか、イラン向けの石油製品の輸出は仲介者・第三者を間に入れて行ってきた。因みに、チャイナ・オイル(中国石油)は、米国及び香港に上場しているペトロチャイナの親会社である中国国営石油有限公司(China National Petroleum Corporation、CNPC)の貿易担当企業である。尚、本件についてCNPC広報部のコメントは得られていない。

 チャイナ・オイル(中国石油)によるイラン向けの石油製品の直接輸出に引きずられるかのように、アジア最大の精製業者であるSinopecも6年ぶりにイランへの石油製品の直接輸出を再開する見込みである。やはり石油業界筋は、Sinopecの貿易担当企業であるUnipecが2010年4月13日、25万バレル相当の石油製品を積み込むため、イラン向けと思われるオイル・タンカーを傭船している。Unipecも2001年から2004年にかけてイランに石油製品を直接輸出したことを明らかにしている。尚、Sinopec広報部からも本件に関するコメントは得られていない。世界最大のイラン原油の取り扱い企業である中国国営Zhuhai Zhenrong社も、かつてはイラン向けに石油製品を輸出していた。

 米国は対イラン経済制裁の強化を図ることで、イランに核開発交渉での妥協を迫ろうと努めている。しかし、消息筋は、購入代金があり、さらに取引に経済的メリットがあるのであれば、イランは国際石油市場から石油製品の供給者を容易に見つけられると言う。さらに同筋は、政治家は(石油)市場がどういうものであるのか、或いは経済制裁もうわべだけに過ぎないことを理解していないとも指摘している。

 最近になりイランに石油製品を輸出して企業の撤退の動きが相次いでいる。これまでのグレンコ、ヴィトール、ロイヤル・ダッチ・シェルに続いて、2010年4月にはロシアのルクオイルもイラン向け石油製品の供給を止めている。そうした中での中国による対イラン石油製品輸出の再開であるだけに、国連での対イラン新制裁のとりまとめへの動きとあいまって注目される動きといえる。

(4月15日、記)
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(国際エネルギー問題研究家 江古田 省一<えこだ しょういち>)