連立政権の樹立に向けた交渉の続くイラクの首都バグダッド中心部で連続自爆テロが発生
(2010年4月6日掲載)

 連立政権の樹立に向けた交渉の続くイラクの首都バグダッド中心部で、2010年4月4日の午前11時頃のほぼ同時刻に3件の連続自爆テロが発生し、30人が死亡・242人が負傷した。最初の2回の爆破はバグダッド西部のドイツ大使館や同大使公邸、エジプト大使館、シリア大使館、ハンガリー大使館のあるマンスール地区で発生し、3回目の爆破はバグダッド中心部サルヒヤ地区のイラン大使館前で発生した。サルヒヤ地区は政府機能の集まる所で、かつての米軍管理区域に近接している。

 事件発生後、イラク治安部隊バグダッド本部のカッシム・アッタ報道官は「エジプト及びイラン大使館への自爆攻撃であった」「今ひとつはドイツ大使公邸を標的としていたかもしれない」(http://www.middle-east-online.com/english/iraq/?id=38230)と述べた。またイラク内務省高官は「2台の明らかに相互協力していた自爆車がマンスール地区の大使館のある地域を襲った」「そのすぐ後に、バグダッド中心部のイラン大使館を狙った大爆発が起きた」(同上)と当時の状況を説明している。

 狙われたイラン大使館のカゼム・シェイク・フォルタン総領事は「幸いなことにイラン大使館の館員や従業員に爆発による被害はなかった。しかし、大使館の建物は激しい被害を受けた」「犯行はイラン、イラク両国の敵による仕業であろう」(同上)とファルス通信で語っている。カイロではエジプト外務省が短い声明を発表し、やはり大使館には犠牲者が出なかったことを伝えた。

 イラク議会のハディ・アル・アメリ前治安委員会委員長兼バドル機構治安責任者は、次ぎのように見る(NYT紙 2010年4月4日)。

テロ組織(メソポタミアの)アル・カイダからの第一のメッセージは、我々は依然イラク国内におり、バグダッド及びイラクのどこででも重大な作戦を実行できるのを示すことである。
それに加えて、(第二のメッセージは)イラク国内に政治的な不一致がある時には、アル・カイダはテロ作戦を行い政治家が相互に非難を始めるように仕向けるということである。

 実は一般に大きく伝えられた3件のほかにも未遂に終わった第四の事件も起きていた。未遂事件のあったのはバグダッド東部のケラダ地区の警察本部である。因みに、この警察本部が大使館などの警備を担当している。しかし、警察部隊が本部に近づこうとしたミニバスに発砲し運転手が負傷し取り押さえられたことから事なきを得た。この車両には1トンもの爆発物が積載されていたという。その後、爆弾処理班が数時間かけて車両に仕掛けられていた起爆装置を解除している。

 今回襲撃されたマンスール地区にあるドイツ大使館付近の住民は、数日前から爆弾が爆発するとの噂が流れており、警護が一段と強化された矢先であったと証言する。また、真偽の程は定かではないが、現地の一部報道機関は、イラク治安当局が詳細を知らせる前に事件の概要を知っていたという。このため、イラク治安当局は報道機関の中にも仲間がいるものと見ている。

 ところで、今回の連続自爆テロの二日前の2010年4月2日夜には、バグダッド南郊の村で、イラク軍の制服を着用し米兵を装った一団が3軒を襲撃し、25人を処刑する凄惨な事件も起きている。殺害された人たちの大半は、いわゆるスンニ派覚醒治安集団と呼ばれる組織のメンバーか、イラク治安部隊員であった。因みに、殺害された25人のうち5人は女性であった。

(4月5日、記)
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(幹事 畑中 美樹<はたなか よしき>)