有望な取引相手国として中国との関係の強化を目指すドバイ多商品センター(DMCC)
(2009年9月18日掲載)

 ドバイ多商品センター(Dubai Multi Commodities Centre、DMCC)が、有望な取引相手国として中国との関係の強化を目指している。中国は世界最大の金の生産国にして世界第二位の消費国である。また金準備保有高でも世界第五位である。ドバイ多商品センター(DMCC)が2009年上半期にドバイ経由で行った金の貿易額は146.9億ドルと、2008年同期比12%増を記録した。また、金の輸入量は300トン、金の輸出量は213トンとそれぞれ前年同期比13%増、19%増であった。

 現在、ドバイにとってスイスとイランが最大の金輸入相手国だが、中国との取引も両国貿易の増大や中国小売市場の自由化などから上昇傾向にある。ドバイ多商品センター(DMCC)のハレンドラ・カイラス金担当局長は「我々は今のところ中国に最も期待している。中国の金需要が最も強いので、UAEの宝石商にとっては地場市場で被った損失の埋め合わせが可能となろう」(http://www.ameinfo.com/208625.html)と語り、中国との金取引の拡大に期待を膨らませた。

 こうした両国の関係の強化振りは、2009年11月4日から7日にかけてドバイ国際催事展示センターで開催される「第14回ドバイ国際宝石週間」で明らかになりそうだ。2009年の場合、日本、米国、中国の3カ国が同催し物に初参加となる。しかし、ドバイ世界貿易センターのトリシー・ロウ上級副社長は「現在の経済環境から考えて、これら3カ国、特に中国が参加するのは前向きな兆候であり歓迎する」「ドバイ国際宝石週間は新たなビジネス機会の発展と既存の関係の強化にはまたとない場所である」(同上)と述べ、「第14回ドバイ国際宝石週間」への中国の参加にとりわけ注目していることを明らかにした。

 中国との関係が深まりつつあることを示すように、ドバイ多商品センター(DMCC)は2009年3月、深圳地方政府の代表団を同センターに迎え意見交換を行った(詳細は、本稿の最後に掲載の「今後2年以内に約25店がドバイでの店舗開設を計画している中国の宝石商」(2009年3月13日掲載)をご参照ください)。ドバイ多商品センター(DMCC)が広州で開催された「アジア・ゴールド・フォーカス2009」に参加して以降、ドバイの企業とのビジネス機会を求める中国の金・宝石製造業者が急増している。

 ドバイ多商品センター(DMCC)は2008年4月、上海金融フューチャー取引所と覚書を調印した。広州には多くの宝石加工業者や宝石製造企業が出来ており、UAE企業もHuaduとConghuaに工場を設けている。中国では39社を超える同国の著名な金・宝石製造業者が活動している。


<ご参考>
今後2年以内に約25店がドバイでの店舗開設を計画している中国の宝石商
(2009年3月13日掲載)
 中国共産党常任委員会のNi Zewang委員は、中国の宝石商のうち約25店が今後2年以内にドバイでの店舗開設を計画していることを明らかにした。10名から成る中国の深圳地方政府の代表団が、2009年3月9日、中東でのビジネスの拡大を目指してドバイ多商品センターを訪問し意見交換した際に発言したもの。

 同委員は「UAEが中国の中東向けの宝石輸出のセンターとして登場する一方、深圳はUAEと中東にとっての宝石製造のハブとなる潜在性を十分持っている」「2年以内に約25社がドバイに貿易事務所を開設するだろう」「UAEの宝石関連企業も是非深圳に事務所を開き、深圳特別経済圏にある製造能力を活用して欲しい」(ハリージュ・タイムズ紙 2009年3月11日)と語り、ドバイと深圳がそれぞれ中東と中国の宝石ビジネスの中心地となり交流を深める構想を呼びかけた。

 UAEは中国にとってGCC諸国の中で第二位の貿易相手国であると同時に、中国の輸出だけを取れば最大のパートナーである。ドバイ・ワールドの統計によれば、中国とドバイの2008年の金・宝石貿易額は4億1190万Dh(約1億3000万ドル)に達している。またドバイと中国の2008年の貿易額は988億Dh(約270億ドル)だが、このうちの952億Dh(約260億ドル)が中国からの輸入となっている。ちなみに、世界のダイアモンド及びダイアモンド宝飾品市場は約500億ドルだが、このうち中東は約20%を占めており、大きな市場の一つとなっている。GCC諸国の年間ダイアモンド売上額(小売)は約25億ドルといわれている。さらに、中国の宝石小売市場の規模は17.5億ドルだが、プラチナの消費量では世界第一位となっている。

 Ni Zewang委員によれば中国の宝石取引の70%超は深圳で行われている。代表団の一員であるWang Xinxian氏は「深圳は若い都市だが1200万の人口を持ち、新たな宝石需要に即した新たなデザインを求めている」「我々はドバイからデザインからはじまって、製造、小売、配送までを習いたい」と述べ、深圳がドバイの宝石取引から何かを吸収し今後の関係の強化につなげたい意向を明らかにした。

 他方、ドバイ多商品センターのアフマド・ビン・スレイヤム会長は声明の中で、「我々は両者の協力が双方にとって一層ビジネスを進めやすい環境を作り出し、双方の宝石商に利益をもたらすと考える」と述べ、深圳との関係の強化・拡大に意欲を示した。

(9月14日、記)
<関連情報>

債務再編を金融機関と協議中のドバイ・ワールドと事業再編で投資を中止するドバイ政府系企業イスティスマール【9/14】

外需に依存する世界最大級のショッピングモール「ドバイ・モール」のビジネスモデル【9/14】


湾岸初のメトロとなる「レッド・ライン」を予定通り開通させたドバイ首長国【9/11】

シンガポールと中国を相次いで訪問したシェイク・ムハンマド・ビン・ザーイド・アル・ナヒヤーン・アブダビ皇太子兼UAE副参謀長【8/18】

今後2年以内に約25店がドバイでの店舗開設を計画している中国の宝石商【3/13】

(幹事 畑中美樹<はたなか・よしき>)