外需に依存する世界最大級のショッピングモール「ドバイ・モール」のビジネスモデル
(2009年9月14日掲載)

 2009年8月下旬の報道によれば、世界最大級のショッピングモール「ドバイ・モール」の売り上げは、中国など新興市場からの観光客とバーゲンセールのお陰で過去二カ月間、急上昇しているという。ドバイ・モールは、世界経済が低迷する2008年11月に開業した巨大モールで、55万平米の床面積のうち35万平米を占めるテナント総面積に約900店舗が出展している。テナント総面積の3割は、ブルーミングデールズ(Bloomingdale's)やハムレイズ(Hamley's)など、ドバイのみならず地域でも初参入の新ブランドが占める。また、スケートリンクや220店が並ぶ世界最大の屋内ゴールド・スーク、40店から成るドバイ最大のフードコート、巨大水族館なども話題となっている。

 デザイナー・ブランドの服飾などは、西側諸国のショッピング街よりも多くの商品を呼び寄せている。実はアラブ諸国には40以上の巨大モールが存在するが、何れも世界中から多くの観光客を呼び寄せている。ドバイで毎年行われるショッピング・フェスティバルには約200万人が来場し、その売り上げ高はGDPの約3分の1にも達するといわれる。ドバイ・モールでも、初年度に3000万人の来客を見込んでいた。しかし、中東諸国を巻き込む世界的な景気後退により消費者マインドが急激に悪化していたため、当初の売り上げは芳しくなかった。小売業者によれば、2009年夏場までの売上高は想定よりも30%ほど低かったようだ。

 ブランドショップのマネージャーであるラウル・ジャハブ氏は次のように言っている。

我々は、モールの来場者と売上のさらなる向上を目指さなければならない。
モールの客層に関しては、湾岸アラブ地域と中国からの観光客が多くの比重を占めている。

 ドバイ観光庁の最新データによれば、2009年第一四半期におけるドバイのホテルに滞在した中国人数は、前年比14%強も上昇している。ドバイに事務所を構える中国大手旅行代理店「ハンター・インターナショナル・ツーリズム」によれば、2009年5~6月のUAEへの中国人旅行者数は、3~4月と比較して約30%増加しているという。電気製品関連の小売業者「シャラフDG」の最高責任者ニーレッシュ氏は次のように言う。

モールの今後の改善点として、ショッピングそれ自体に価値をつけていく作業が必要になってくる。
現状では、営業利益と比較して運営コストが高すぎる。

 また、別の電気製品小売業者は次のような意見を口にしている。
過去2ヶ月で売上は25~28%上昇した。
しかし、それでも事前予想の60%程度にしか達していない。

 こうした現場の小売店の声に対してアナリストは、2010年以降の時点での家賃などコスト面での改善の可能性を示唆している。ドバイ・モールも、現状では新興市場を中心とした外需に依存するビジネスモデルだけに、2010年以降の売り上げについても世界経済の動向次第というにことになりそうだ。

(9月12日、記)
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(著述家 高橋大樹<たかはし・ひろき>)