保有するシティ・グループ株とメリルリンチ株の売却は考えていないことを明らかにしたクウェイト投資庁(KIA)
(2009年9月11日掲載)

 クウェイトのムスタファ・アル・シャマリ財政相は、2009年9月6日、国会議員から寄せられた質問への回答書の中で、クウェイト投資庁(KIA)が保有するシティ・グループ株とメリルリンチ株を全て売却する計画はないことを明らかにした。クウェイトのアル・カッバス紙やアル・ライ紙などが報じたもの。

 回答書の中でムスタファ・アル・シャマリ財政相は「クウェイトの投資政策は長期的展望に基づいているので、シティ・グループ株やメリルリンチ株を近い将来に売却する計画はない」「これらの株式の購入は、サブプライム・ローンの影響で米国住宅産業が不況に襲われ、それによって米国の銀行が被害を受けている時期に行われた」「2008年11月末までにシティ・グループ株は24億ドルに、またバンク・オブ・アメリカに買収されたメリルリンチ株は10億ドル弱にまで、それぞれ値下がりしてしまった」(http://www.middle-east-online.com/english/kuwait/?id=34122)と述べている。

 クウェイト投資庁(KIA)は2007年後半、株式数は明らかにしていないものの、シティ・グループ株を約30億ドル相当、メリルリンチ株を約20億ドル相当、それぞれ購入していた。クウェイトの国会議員は、クウェイト投資庁(KIA)と財政省がこうした投資を行った結果、世界金融危機の影響で30億ドル強もの損失を出してしまったと繰り返し批判してきた。

 ただし、ムスタファ・アル・シャマリ財政相は今般の回答書の中で、「クウェイト投資庁(KIA)は、2008年末までにこれら二行への投資で3億1800万ドルの収益を得た」(同上)と反論している。1982年に設立されたクウェイト投資庁(KIA)は二つの国家基金を運用しており、運用資産額は世界経済不況の発生前には約3000億ドルに達したといわれていた。クウェイト投資庁(KIA)の現時点での運用資産額は不明だが、クウェイト政府は2009年2月時点で約330億ドルの損失を計上したとしていた。もっとも民間の研究機関等は、クウェイト投資庁(KIA)の損失額はそれよりもはるかに大きいと推計している。

 シティ・グループについては、政府系ファンド(SWF)の中でも運用資産額が世界最大と推計されるアブダビ投資庁(ADIA)も2007年11月、75億ドル相当の株式を取得している。

(9月9日、記)
<関連情報>

国内経済の悪化を受け2009年上半期に在外資産が縮小したサウジアラビア【9/8】

買収した米百貨店バーニーズの債務状況の改善策を検討するドバイのイスティスマール【9/4】

フランスの電気制動関係メーカー大手セジェリック(Cegelic)の買収を発表したカタールのディアル(Diar)【8/28】

オーストリアのベンドルフ・グループと共同で投資会社を設立したアラブ首長国連邦の投資会社アーバル・インベストメンツ【8/25】

投資規模を300億ドル程度に拡大することを発表したアブダビの国際石油投資社(IPIC)【8/25】

4億ドル相当の北海油田権益を獲得したアブダビ・ナショナル・エネルギー社の子会社TAQAエナジー【8/25】

英サッカー・チームのポーツマスFCを買収したアブダビ・ユナイテッド・グループ役員アルファヒム氏【8/21】

新たな出資により英国のバークレイズの筆頭株主に躍り出たカタール政府【8/21】

ロンドンのシティーの空にそびえる超高層ビル「シャード・オブ・グラス」を建設するカタール投資家【8/18】

買い増し権利の購入により最終的にフィルクワーゲン株式の17%の取得が可能となったカタール・ホールディング【8/18】

ドイツ企業とアルジェリアでの自動車組み立て合弁事業を行うアブダビ政府系のアーバル・インベストメンツ【8/18】

バージン・グループ(英)の宇宙旅行事業に2億8000万ドル投資するアブダビ政府系のアーバル・インベストメンツ【7/31】

(幹事 畑中美樹<はたなか・よしき>)