イスラエル企業エルビット・システムズへの投資を整理したノルウェーの国家年金基金
(2009年9月11日掲載)

 ノルウェーの財務省は2009年9月3日、声明を発表し、同国の政府系ファンド(SWF)である国家年金基金が、イスラエル企業エルビット・システムズが西岸の分離帯建設事業に関与していることを理由に同社への投資を整理したことを明らかにした。因みに、6月30日の決定に基づき、既に8月31日に株式の売却を終えている。

 ノルウェーのクリスティン・ハルフォルセン財務相が発表した声明は、次のように述べていた。

エルビット・システムズへの投資は、基本的な倫理基準の侵害という容認できないリスクとなっている。
国際司法裁判所は、西岸における分離帯の建設が国際法に違反するとの判断を下している。ノルウェー政府も同様の見解を示してきた。
エルビット・システムズを投資対象から外すのは、当該企業の置かれる国家の国籍が問題だからではない。
エルビット・システムズがイスラエル当局に納入している監視システムは、この分離帯、或いは分離壁の中核を構成している。

 イスラエルのハイファに本社を置くエルビット・システムズの製造する監視システムは、イスラエル政府が2002年から西岸に建設を始めた分離帯に使用されている。イスラエル外務省のイガル・パルモー報道官は「ヨシ・ガル外務次官が駐イスラエル・ノルウェー大使を呼んでノルウェー財務省の行動に抗議した」(ブルームバーグ通信 2009年9月3日)と述べ、不快感を示した。

 ネタニエフ・イスラエル首相は、2009年7月、「分離地はイスラエルの安全保障に取り極めて重要なものである」(同上)と述べ、米国が求めていた分離帯の一部の撤去を拒否している。尚、国連人道問題調整事務所(UNCHR)は2009年7月8日、イスラエルに対して、分離帯の一部を撤去し被害を受けたパレスチナ人に補償金を支払うようにとの2004年の国際司法裁判所の呼びかけに答えるよう求めている。

 「石油基金」との呼び名で知られるノルウェーの「国家年金基金」の運用資産額は、2009年6月末時点で3965億ドル(2770億ユーロ、2兆3800億クローネ)と、アブダビ投資庁(ADIA)の6270億ドル、サウジアラビア通貨庁(SAMA)の4310億ドルに次ぐ規模を有している。ノルウェー財務省は、倫理基準で規定している「特に非人間的な武器製造企業」や「大規模な人権侵害や腐敗、環境汚染を引き起こしている企業」「煙草製造企業」への投資を禁止している。この基準に基づきノルウェー財務省は8000社にのぼる投資企業の見直しを行い、倫理委員会の勧告に従って、ボーイング、ウォルマート、EADS、サフラン、BAEシステムなど約30社をブラック・リストに載せている。

(9月9日、記)
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(幹事 畑中美樹<はたなか・よしき>)