合計19.3億ドルのイスラム債(スクーク)を発行し新たに資金を調達したドバイ首長国
(2009年10月30日掲載)

 ドバイ財政庁は2009年10月28日夜、声明を発表し、総額25億ドルの預託証書発行計画に基づき発行した合計19.3億ドルのイスラム債(スクーク)の詳細を明らかにした。同声明によれば、今回発行されたのはドル建て債券12.5億ドルと自国通貨建て債券25億ディルハム(6.8億ドル)である。利回りは前者が6.39%、後者が5.65%であった。

 今回の発行には、ドル建て債に49億ドル、またディルハム建て債に54億ディルハム(14.7億ドル)、従って合計64億ドル弱の応募があり、ドバイ財政庁を安心させた。ドバイ財政庁は発行に当たり、香港、シンガポール、ドバイ、ロンドンで投資家向けの事前説明会を開催しており、こうした努力が実を結んだ格好である。因みに、ドバイ政府による国際的な債券の発行は2008年4月以来のものであった。

 ドバイ政府は今回の発行三日前の2009年10月25日に開いた投資家向けの説明会で、総額65億ドルの中期債券(Medium-Term Notes、MTN)の発行計画を明らかにしていた。同会合では、ドバイ政府は2009年2月に発表した200億ドルの債券発行計画に基づき第二回分として近々100億ドルの国内債券を発行する意向を表明しているが、中期債券(MTN)はこれとは全く別物であることも説明された。

 ドバイ財政庁は同説明会で、65億ドルの中期債券(MTN)の内訳は40億ドルがユーロ債券で残る25億ドルがイスラム債券(スクーク)としていた。2009年10月28日に発表された合計19.3億ドルのイスラム債(スクーク)はこの後者に当たる。尚、2009年10月25日の投資家向け説明会は、ドバイ・イスラム銀行、三菱UFJ国際証券、スタンダード・チャータード、UBSの4社が主催した。同会合に出席した投資家によれば、会合ではドバイの債権・債務状況に関する資料が配布された。同資料によれば、ドバイ政府の借入額は2009年9月末で190億ドル、またドバイの2008年末のGDPは820億ドルである。

 ドバイ財政庁のアブドゥルラフマン・アル・サーレハ長官は「今回の募集に対する市場の反応は極めて積極的であった。これはUAE及びドバイの経済の将来に対する投資家の信頼の高さを示している」「今回調達した資金は、指導者のビジョンに沿った将来での経済的成功につながるドバイ政府によるインフラほかの戦略的事業に注入される」「シェイク・ムハンマドUAE副大統領・首相兼ドバイ首長は、数週間前、下降気味の経済は過去のものとなったと発言していたが、こうした動きは明白でありドバイは成長の新たな章を準備しつつある」(エミレーツ・ビジネス24/7紙 2009年10月29日)と語り、今回のイスラム債(スクーク)の発行の成功を喜んでいる。

 尚、今回のドバイ政府によるイスラム債(スクーク)の発行に関するGCC諸国の主なエコノミスト、アナリストの反応は以下の通りであった。

氏   名 肩書き・所属 発 言 内 容
ファイサル・ハッサン 調査部長、グローバル・インベストメント・ハウス(クウェイト)
金融危機の緩和と世界経済の底からの脱出で、新興国市場のリスクが改善している。
ドバイは債務交渉を行うのに立場を改善しているので、今後の交渉の行方が注目される。
ハイサム・アラビ 最高経営責任者、ガルフメナ・オールタナティブ・インベストメンツ
投資家の積極的な応募はドバイが国際資本市場に出て行く上での懸念を取り払った。
今回の発行は信頼投票であり、混乱や誤った認識を消し去った。
ラミ・シダニ 中東・北アフリカ投資責任者、シュローダー投資運営社
投資家による積極的な応募はドバイに対する信頼を明白に示している。
この応募振りは、ドバイの資金調達力を懸念していた人たちへの強烈な声明である。
ノーヴァル・ロフタス 転換債・イスラム債部長、マトリックス企業キャピタル社
この発行は市場にドバイ・アブダビの関係(リンク)を確立した。
こうした基本認識のあったことが多くの国内投資家による応募を生んだので、長期的な成功につながるだろう。
シャヴァン・ボガイタ 信用調査部長、ナショナル・バンク・オブ・アブダビ
今回の応募の多さは、ドバイ物語が信頼を得つつあることを明確に示している。
今のドバイにとって、スクークでの発行は意味がある
長い間GCCではスクークの発行がなかったので、今回の発行は旺盛な需要を取り込めた。
エカルト・ウーツ プログラム部長、湾岸調査センター(GRC)
今やドバイにとり債券発行で資金を調達する好機である。
何故ならば、投資家の求める利回りは大きく下がっている一方、国際市場が依然不活発だからだ。
出所:各種資料より作成のもの。

(10月29日、記)
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(幹事 畑中 美樹<はたなか・よしき>)