イランでのショッピング・モール事業を狙うドバイのマジド・アル・フッタイム・グループ
(2009年10月23日掲載)

 ドバイのモール・オブ・ジ・エミレーツ(Mall of the Emirates)の運営と、インドアー・スキー場をドバイに建設したことで知られるドバイの事業家のマジド・アル・フッタイム氏が所有するマジド・アル・フテイム・グループは、2009年10月上旬、イランの首都テヘランでの大型スーパー・マーケットの開業を契機にイランで一層の事業展開を目指す方針を明らかにした。因みに、同グルーは、フランスの大手スーパーマッケトであるカルフールの中東での営業権をもっている。

 マジド・アル・フッタイム・プロパティー・グループのピーター・ワリクノウスキー社長は、テヘランで立ち上げたショッピング・センターの成功を踏まえて、次のような分析結果を明らかにしている。

2012年までに大型モール・プロジェクトをイランで立ち上げる。
イランの大都市には豊かさがあるが、ショッピングと娯楽の点では選択肢が少ない。
多くのイラン人が休暇でドバイに来てはモール・オブ・ジ・エミレーツを見たがっている。
政治的内紛、厳しい投資条件、原子力開発に対する国際的制裁が絡みあって外国企業の投資は減速しているが、現地に行くと政治はダイナミックな経済活動と関わりないことが分かる。
政府は国際政治に関わり過ぎており国内経済を動かしていない。
イランの消費者は、すでに大型スーパー・マーケットを見ており、その存在を知っている。
イランでプロジェクトを立ち上げることにリスクがあるとは思っていない。
我が社は新しい建設用地を探すための交渉を現地テヘランで行っている。

 マジド・アル・フッタイム・プロパティー社は、従来からカルフールを同社のショッピング・モールの旗艦となるテナントとして入居させてきた。しかし、同社が2009年8月に開業したテヘランで初めてとなる欧米スタイルの大型スーパー・マーケットは、本来ならばカルフールの名前をつけるところである。しかし、カルフールのロゴを真似た「ハイパースター」の名前をつけている。

 この点について、カルフール本社は本プロジェクトには一切関与していないと回答している(9月25日付けAP電)。同社はウオール・マート・ストアーズに次ぐ世界第2のフランスを代表する小売業だけに国際政治への配慮が働いているのだろう。

 マジド・アル・フッタイム・プロパティー社は、大型のショッピング・センターをその他地域に建設することも明らかにしている。同社は、現在湾岸とエジプトでショッピング・モールを運営し、この2009年10月にはエジプトのアレキサンドリア市で、既存ショッピング・モールのアレキサンドリア・シティー・センターを2倍に拡張する大工事を完工する。エジプトではカイロで3番目のプロジェクトとなる「モール・オブ・エジプト」も計画中である。

 同社は地中海東部沿岸国の市場性にも注目しており、現在シリアとレバノンで3箇所のショッピング・モール建設を計画している。シリアでは10億ドルを投じて3年後の完成を目指しショッピング・モールを建設している。同社はサウジアラビア、イエメン、オマーンにも目を向けている。同社は、発表したプロジェクトを含め、中東・北アフリカ地域で今後5年間で新たに8~10のモールの建設を考えているようだ。

(10月21日、記)
<関連情報>

革命防衛隊の関与の疑いから調査されることとなったイラン電気通信社の民営化【10/14】

「2008年反テロ法」を根拠にイランのバンク・メラとイラン・イスラム共和国海運社との取引停止を命じた英国政府【10/14】

ドバイの債務800億ドルは経済規模・成長率から見て妥当な範囲との見方を示したHSBC中東【10/14】

20年後には香港・ロンドン・北京に次いで世界第四位の国際的な航空のハブとなると予想されるドバイ【10/9】

リビア、カタールなど新興市場での事業に焦点を当てるドバイのアル・フタイム・グループ【10/6】

(著述家 高橋大樹<たかはし・ひろき>)