2010年のGCC諸国の実質GDP成長率は5.2%に上昇するとの報告書を発表した国際通貨基金(IMF)
(2009年10月16日掲載)

 国際通貨基金(IMF)のマスード・アフマド中東・中央アジア局長は、2009年10月11日、ドバイで記者会見し、同基金が作成した「地域経済見通し」『中東・中央アジア』の主要点について説明した。同報告書は、2010年の年平均原油価格が1バレル当たり76.5ドルとの前提に立ち、特にGCC諸国の2010年の実質GDP成長率が5.2%に上昇すると予測している。

表 中東諸国の主要経済指標の推移
(単位:%)
項   目 対象国 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年
実質GDP成長率                
中東 5.8 5.8 6.0 4.8 2.2 4.0
石油輸出国 6.0 5.25 6.0 4.6 1.4 4.1
GCC 6.9 5.5 5.0 6.4 0.7 5.2
石油輸入国 5.4 6.3 5.9 5.0 3.6 3.8
財政収支/GDP              
中東 6.2 6.6 4.9 7.3 ▲0.8 1.2
石油輸出国 12.3 12.8 10.0 14.2 2.0 5.2
GCC 20.6 22.4 17.6 27.4 5.3 10.4
石油輸入国 ▲5.4 ▲5.1 ▲4.9 ▲5.8 ▲5.8 ▲5.9
経常収支/GDP                
中東 15.8 17.1 14.7 14.7 1.1 5.7
石油輸出国 21.8 23.4 20.5 20.9 3.4 9.5
GCC 27.4 28.8 24.8 26.3 6.3 14.2
石油輸入国 ▲1.3 ▲1.6 ▲2.5 ▲4.9 ▲4.5 ▲4.5
 注:2008年は実績見込み、2009年及び2010年は予測
出所:IMF、「地域経済見通し」『中東・中央アジア』、2009年10月

 尚、上記報告書のプレス・リリース向け資料からマクロ経済に関する主要点を紹介すれば次の通りである。

石油輸出国が外貨準備を景気後退に対する緩衝材として使用したことが経済への悪影響を緩和すると共に、近隣諸国への前向きな波及効果も生んだ。
世界同時金融危機は、中東金融市場の脆弱性を克服するために、引き続き監視を強化する必要のあることを示した。
石油輸出国(アルジェリア、バハレーン、イラン、イラク、クウェイト、リビア、オマーン、カタール、サウジアラビア、スダン、UAE、イエメン)は、原油価格の急落と突然の資金流入の枯渇により国際金融危機の影響を直接に被った。
これら諸国の2009年の石油部門のGDP成長率は▲3.5%となった。但し、非石油部門のGDP成長率は低下したとはいえ3.2%のプラス成長を記録した。
2010年には石油輸出国の石油及び非石油部門のGDP成長率は約4%を記録すると予測される。
石油輸出国は、巨額の準備額を使って拡張的な財政政策を講じ、金融部門を支援するために流動性を流入した。これらがマクロ経済への世界不況の影響を緩和した。
これら政策は相対的に高水準の輸入の維持にも役立った。

(10月12日、記)
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(幹事 畑中 美樹<はたなか・よしき>)